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2023年1月 2日 (月)

オオタカ、冬の巣立ち雛の謎

 今日から六義園が開園していますので、新年のあいさつをかねてオオタカを探しに行きました。
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 静かな正月の六義園という感じで、ヒヨドリの声も少なめです。しかし、藤波橋の近くでは、ドバトの羽毛が散乱していてオオタカの食痕の可能性があります。思い出すと、去年の暮れには本郷通り沿いの歩道でもドバトの羽毛が散乱しており、オオタカがさかんに狩りをしているようです。
 鳥仲間のK久保さんから、オオタカの幼鳥が見えたとの連絡がありました。私は、いちばん離れたところにいましたが、まわりではハシブトガラスがモビングコールで鳴いています。こちらに飛んで来たのかもしれません。あるいは、K久保さんのほうは幼鳥で、こちらは親鳥かもしれません。ご本尊にはお目にかかれませんでしたが、オオタカの気配の濃い正月の六義園でした。 
 それにしても、大晦日のオオタカの巣立ち雛らしい声は謎です。
 かりにオオタカの巣立ち雛だとすると、さらに謎が深まります。
 録音できた鳴き声は、雛が親鳥に対して行う食べ物を乞う合図の声です。ハシブトガラスならば「ウンガー」という甘えた声ですし、フクロウならば「キリリー」と聞こえる声です。長い間、同じような場所で鳴き続けていたこと、2羽いたことを考えても、その可能性は高いと思います。
 では、今雛連れのオオタカがいるかという課題です。
 雛が親離れをする期間は、小鳥ではばらつきはあまり無いと思いますが、身体の大きな鳥ほどばらつく傾向があると思っています。たとえば、ハシブトガラスでは数日でいなくなるものがいるかと思えば、2ヶ月間もいっしょに行動して食べ物をねだる鳴き声を出し続ける幼鳥もいます。オオタカもおそらく1ヶ月前後が普通のところだと思います。
 ということは、巣から出て1ヶ月前後の巣立ち雛ということになります。目黒の自然教育園の記録(遠藤拓洋・2020)では、

2019年
4月18日 巣に付く
  20日 抱卵期の確認
5月25日 雛の確認
6月26日 雛の巣外活動
8月1日  最終記録

 繁殖シーズンは、ハシブトガラスやツミの標準的な季節と一致します。多くの鳥がこの期間に子育てをします。スケジュールも身体の大きさの似たハシブトガラスに近いものがあります。
 卵を抱く期間は30日以上、巣からでるのも30日、なわばりから姿を消すのも30日以上。ざっと、巣を作って3ヶ月と10日でいなくなっています。
 そうすると、今幼鳥を親鳥が連れているとして逆算すると9月下旬に巣作りをして、11月下旬に巣立った雛たちということになります。遅めに見積もっての計算で、もし巣立ったばかりであればもう1ヶ月遅くなり10月下旬に卵を産んだことになります。
 一部の例外を除いて、鳥の多くは夏至を過ぎると、繁殖の兆候を見ることが無くなります。ハシブトガラスを見る限り、夏至以降の繁殖は極めて希です。ようするに太陽の角度や日の長さによって刺激を受けてホルモンが分泌され、繁殖衝動が起きるわけで、夏至以降はそれが逆になります。まして9月中旬はすでに彼岸となり、日がどんどん短くなるわけですから、とても繁殖するとは思えないです。
 ただ、クマタカは冬に繁殖します。こうした傾向がオオタカにもあるのか。新年早々興味はつきません。
 あと、どこから来たかも気になります。
 紹介した自然教育園は、もとより都内の大型の緑地では、オオタカの繁殖例が報告されています。六義園の近くでは、毎時神宮や板橋区浮間が思い当たります。オオタカの繁殖は秘匿されているので、これ以外にもあるかもしれません。いずれにしても、

参考文献
遠藤拓洋 2020 自然教育園におけるオオタカの繁殖記録(2019 年 自然教育園報告 第 52 号:25 - 36 国立科学博物館附属自然教育園

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