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2025年11月 5日 (水)

ムシクイの話-オオムシクイとメボソムシクイの声の違い

 10月の日光です。

 朝7時、標高800mほどの雑木林からこんな声が聞こえてきました。

 

 

 これはオオムシクイに違いないと思って録音しました。オオムシクイの秋の渡りのルートはまだ良く判っていないのです。ところが念のため山階鳥類研究所でオオムシクイを研究されているS藤先生にお伺いを立てると、あっさり「これはメボソムシクイです」その心は「4音で鳴いているから」

 

 オオムシクイにはなじみが無い方もいらっしゃると思います。オオムシクイ、コムシクイ、メボソムシクイは今ではムシクイ上種として別に分類されていますが長い間同一種と考えられていました。外見から判断するのはほぼ不可能。このうちコムシクイは日本では希少種で鳴き声もかなり異なるので今回は省きます。

 メボソムシクイは関東以北の亜高山帯で広く繁殖していて登山などで声を耳にされる方も多いかと思います。オオムシクイの日本での繁殖地は北海道の一部ですが、渡りの時期には各地を通過するため、東京の六義園でも5月下旬頃に囀りが聞かれることがあります。最近ではオオムシクイの認知度も高まって各地から通過の情報が寄せられるようになりました。ただ秋にはほとんど鳴かないので識別が出来ず十分なデータが集まっていないようです。

 

 

以下は私が尾瀬で録音したメボソムシクイです。

 

 

次に山形で録音したオオムシクイです。

 

 

 オオムシクイは早口で判りにくいので行徳の野鳥病院で録音させてもらった飼われているオオムシクイの声も添付します。

 

 

 両種の鳴き声をを比べてみると、メボソムシクイは「ゼニトリゼニトリ」と聞きなされるように「ゼ・ニ・ト・リ」と4つの音が入っています。一方オオムシクイの聞きなしは「ジジロジジロ」で「ジ・ジ・ロ」で3音です。

 

 日光で録音された声は、やや遠かったこともあり、音節の最後がはっきりしないのとメボソにしてはかなり変わった鳴き方なので迷うところではありますが、白根山を控えた背後の亜高山帯はメボソムシクイのメッカで、今までも何度か春秋に通過するメボソの声が録音されたことがあります。またメボソは遅くまで囀ることでも知られています。さらに、メボソの囀りは地域差が激しく、オオムシクイによく似た鳴き方をする地域もあるようです。ただ今まで日光~尾瀬エリアでこのような鳴き方のメボソに出会った事が無いのが不思議です。

 

追記: 長年オオムシクイの研究を続けていらっしゃる兵庫のK田さんから、「地鳴きの観点から見るとオオムシクイではないか」というご指摘をいただきました。 オオムシクイとメボソムシクイの地鳴きを比較するとメボソの方が声が低く5KH以下なのに対し、オオムシクイはやや高く3~7KHzまであり、今回の地鳴きはオオムシクイの可能性が高いのでは?というお話でした。K田さん、貴重なご意見をありがとうございます。

専門家の間でも意見が分かれるとあってはブログ作成者の出る幕はありません。

皆さんもオオムシクイらしい声が聞こえたら耳を澄ませて聞いてみてください。

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