機材

2022年6月25日 (土)

タスカムDR-05のVer3.0とXの違いーその2

 DR-05のVer3.0とXについて音の違いを探ってみます。
 S/N比は、カタログによるとVer3.0が92dB以上、Xが94db以上とわずかにXの方が性能が良いことになっています。この差はノイズの多い自然のなかでの録音では誤差範囲、違いを感じる数値ではないでしょう。
 実際に録音した音で比較してみたいと思います。録音設定は、48kHz/16bit、ステレオです。タイマー録音で収録、地上1mほどの木の枝に2台を重ねて置いています。
 音源からほぼ同じ場所の音声を切り出しフェードイン、フェードアウトをかけている以外の編集加工は行っていません。
 まず録音時のゲイン、音の大きさについて波形表示で比較してみます。どちらも録音レベルは最高の90、フルボリュームで録音しています。モノラルに変換しています。
 環境のノイズを波形で見ると、Ver3.0がピークが35dbあたりまであるのに対し、Xは45dbと低めです。
 DR-05 Ver3.0
Noisev31
 DR-05 X

Noisex1

 ノイズの状態をスペクタクル表示で見てみます。モノラルに変換しています。全体に均一にノイズがあることがわかりますが、濃淡の違いになるほど大きな差はありませんでした。
 DR-05 Ver3.0

Noisev32

 DR-05 X

Noisex2

 上掲の音源です。野鳥たちがさえずりはじめる前の静かな状態での録音です。おそらく、現場では無音と感じる状況です。「ゴー」という音がVer3.0のほうが、わずかに大きく聞こえます。
 DR-05 Ver3.0

 DR-05 X

 低い音の例。フクロウの鳴き声です。大きな違いを感じることができませんでした。
 DR-05 Ver3.0

 DR-05 X

 高い音の例。ミソサザイのさえずりを中心としたコーラスです。耳にキンキンくる感じが、Ver3.0のほうが強くXのほうがまろやかに聞こえますが、いかがでしょうか。
 DR-05 Ver3.0

 DR-05 X

 いろいろな音の例。アカハラなどのコーラスです。近くで鳴くアカハラは同じに聞こえますが、遠くで鳴くカッコウがVer3.0の方が大きく聞こえるように思います。
 DR-05 Ver3.0

 DR-05 X

 Ver3.0とXは、外見では液晶の色とマイクの赤いラインが大きな違いです。その他、機能に差がでるほどの違いはありませんでした。音は、Ver3.0が大きな音で録音できて、Xの方が音がまろやかという違いを感じました。この違いは、わずかであり、人によって感じ方が違うかもしれないという差異だと思います。
 野鳥録音に必要な性能には大きな違いがないので、どちらを選んでもよろしいかと思います。1,000円安いことでVer3.0を選ぶことがあってよいかもしれません。ただ、2022年6月現在、どちらも品薄で入手難が続いています。とりあえず手に入る方を購入しても問題はないと思います。。

2022年6月24日 (金)

タスカムDR-05のVer3.0とXの違い-その1

 私がタスカムのDR-05を使っているのがわかると良くたずねられるのは「Ver3.0とXとは液晶の色以外、何が違うのか」です。
 たしかにDR-05は型番がいろいろあって、現行の機種でさえVer3.0とXがありわかりにくいし迷います。ネット通販では、2022年6月現在、Ver3.0が13,000円、Xが14,000円で、Xの方が1,000円くらい高い傾向にあります。
 写真を見ると、液晶の色がVer3.0はオレンジ色、Xは青白いと違いがわかります。いわば、電球と蛍光灯の色の違いがあるのですが、これ以外の違い、とくに音と録音機能に差があるのか知りたいところです。写真は、左がVer3.0、右がXです。
Display
 私のDR-05 Ver3.0は、電池蓋を失った上に思わぬ落下実験をしてしまい液晶にヒビが入ってしまいました。また、以前より怪しいノイズが入ることがあって、修理か買い換えを考えていました。この野鳥のシーズンに修理に出すのも憚れますし、それ以前に直るのか心配です。タスカムの山本さんに相談したところ「とりあえずデモ機を使っておいてください」と1台、貸していただきました。
 申し訳ないので、DR-05 Xをヨドバシの通販で購入いたしました。ということで、図らずもVer3.0とXの比較を行えることになりました。
 タスカムの山本さんによると、2機種の違いは「Xはインターフェースとしての機能があります。Web会議などでのUSBマイクとしてつかったり、ライブ配信などに使えます。」とのこと。Xは、メニューのなかにUSBの項目があり「オーディオI/F」でPCかMAC、サンプリング周波数、実行を選択することで、USBマイクとしての設定を行えるようようになっていました。写真は、USB設定のメニューです。
Menu
 この他、外見上の違いは、Xのマイクには赤いラインが入っています。
Mike
 USBの端子がVer3.0で はMini-B、XではMicro-B。マイクロSDスロットの蓋にVer3.0はマイクロSDのロゴが刻印されています、Xは何も書かれていないなどを違いを見つけました。
Usb
 いずれも機能に関わるものではありません。また、メニューのなかでタイマー録音を設定して最後の決定がVer3.0では中央のプレイボタン(▼1つ)ですが、Xでは早送りボタン(▼2つ)の違いがありました。2台を同時に使う場合、誤設定をしないように注意が必要です。この他、メニューは基本は同じですが、並びや言葉が微妙に違います。
 筐体は、並べても重ねても同じに見えます。ちなみに、重さはeneloop2本を入れてどちらも180gとなり、違いはありませんでした。
 液晶の色の違いから電池の持ち時間に差がありそうです。カタログには、44.1kHz、16bitの録音設定でエボルタ使用の場合どちらも17.5時間で同じ。eneloop使用でVer3.0が約15.5時間、Xは14.5時間とあり、Ver3.0が1時間長いことになっています。この差は微妙で、eneloopの鮮度によって10時間を超えると1時間くらいの誤差はでます。実際、2台をeneloopで使用してみて、電池の持ちに大きな差があるようには思えませんでした。(つづく)

 

2022年6月22日 (水)

タスカム Portacapture X8を使ってみた-追加 3

 タスカムのPortacapture X8(以下、X8)は、192kHz/32bitの高品位で録音できます。はたして野外での野鳥のコーラスをこの高品位で録音したらどうなるのか、今のシーズンならではの録音を試みました。
 その前に192kHz/32bitで録音した場合、バッテリーの持続時間を確認したいと思いました。マニュアルには、44.1kHz/24bitの持続時間は書かれていますが、高品位でいったいどのくらい持つのかの記述を見つけることはできませんでした。
 まず、本体に単三のeneloopを4本入れた場合の持続時間です。前回の48kHz/16bitでの録音では、eneloopの鮮度が影響する傾向がありましたので、なるべく新鮮なものを使っています。結果は、1時間38分でした。4G+4G+1.4G=9.4Gのデータとなりました。4G=41分となります。
 192kHz/32bitの録音では、おおよそ1G=10分、eneloop1本あたり2G、20分の録音ができると、考えておけばよろしいでしょう。
 48kHz/16bitでは、4Gのファイル+αでしたから、もうひとつ4Gのファイルまで録音できたことになります。それにしても、192kHz/32bitでの録音は容量とバッテリーを食います。
 今回、日光での録音は前回成績の良かった専用のバッテリーパックBP-6AAを装着いたしました。本体の4本に加えて6本、合計10本のeneloopから電力が供給されることになります。
 結果は3時間24分となりました。4Gのファイルが5つ、20Gのデータが録音されていました。ほぼ計算どおりです。
 録音機を設置したのは、午後4時50分です。そこから3時間24分、8時14分まで録音されていました。
 ということで早朝のコーラスにはとても間に合わないことになり、192kHz/32bitの高品位で録音しようと思ったら早起きしなくてはなりません。
 ただ、今回は野鳥のコーラスの最盛期、それだけに夕方のコーラスはボリューム感があり、聞き応えがあり録音しがいのある音となりました。
 アップした音源は、音源の一部を切り出しただけです。フェードイン、フェードアウトをしているだけです。
 高めの音の例、ホトトギスとアカハラを中心としたコーラス。

 低い音の例、カッコウ、アカゲラのドラミングの入ったコーラス。

 mp3に変換していますので高品位の意味があるのか疑問ですが、この程度は録れたとご理解いただければと思います。

2022年6月19日 (日)

思わぬ事態ーアリが録音機の中に

 長時間録音やタイマー録音では、タヌキにイタズラされたり思わぬ事態に遭遇することあります。しかし、今回のようなことは予想もできませんでした。
 この梅雨の晴れ間をぬって、日光に2泊で行って参りました。昨夜と今日は雨予報でしたので、山に録音機を置くことができたのは1回だけ。それでも、渡りの遅いカッコウとホトトギスが加わったボリューム感のある野鳥のコーラスを録音することができました。
 今回は、タスカムのX8で高品位で長時間録音。機種による違いを実際の野鳥のコーラスで検証したいと思い、DR-05のバージョン3とXでタイマー録音を行いました。
 いつもの霧降高原の一隅に17日夕方、録音機を3台を置いてきました。前回は、前にササがあったので少しの風でササが鳴り、絶えずノイズのある音源となってしまいました。今回は、ヤマツツジの枝分かれをした地上1mほどの高さに3機種をのせて設置しました。
 翌日午前中に回収に行くと、録音機にアリがついているに気が付きました。その場で、かなりアリを払って帰宅。しかし、ふと気が付くと部屋の中をアリが歩いています。殺すのはかわいそうなので、紙に乗せては外に追い出します。ところが、これがキリがありません。昨晩だけで、100匹は追い出したでしょう。
 最初は、ジャマーのなかにアリが潜んでいるのかと思いましたがいません。試しに紙袋にX8を入れて置いたら、20匹ほどのアリがでてきました。写真で、見えるだけでも10匹のアリがいます。
Img_0398
 アリはX8の中に入っていたのです。DR-05の2台には、アリが入り込む隙間がありません。ところが、X8はキヤノンプラグ用に4つ大きな穴があいています。恐らく録音中は電池が放熱し、録音機が周辺に比べて暖かかったはずです。居心地の良い場所を見つけたとばかりに録音機のなかに侵入して来た可能性があります。
 ちょっと心配なのは、アリには蟻酸がありますから、基板などに影響を与えたら困ります。このプラグの大きな穴を塞ぐ方法をなんとかして考えないと、また同じことがまた起きそうです。

追記:X8のなかで、アリが死んでいるとも限りませんのでなかを開けて確認しました。マイクをはずし電池を出し、6ヶ所のネジをはずすと簡単に裏蓋がはずれます。なお。2ヶ所は滑り止めの穴の中にあります。
 エアブラシで、隙間を含めて掃除をすると2匹の死体が出てきました。アリなど虫に入られた時は、掃除が必要です。また、シーズンが終わったタイミングで裏蓋をはずし掃除をしたほうが良いかもしれません。ただし、自己責任でお願いします。

2022年6月 5日 (日)

タスカム Portacapture X8を使ってみた-追加 2

 実際に録音したX8とDR-05の音源の比較です。いずれも48kHz/16bit、ステレオ、野鳥モードで録音しています。ほぼ同じ時刻の部分を切り出しました。フェードイン、フェードアウト以外の編集はしていません。ただし、wavからmp3に変換しています。 
 ノイズの少ないところでの録音です。メインはヒガラのさえずりです。ヒガラのさえずりは、4,400~5,200Hzにメインの音があり澄んだ音です。
 X8のヒガラの録音。

 DR-05のヒガラの録音。

 ヒガラのさえずりについては、音に違いがないように聞こえます。環境音の「ゴーッ」という音が、X8のほうが小さくDR-05のほうが大きく聞こえる違いを感じます。

 ノイズが大きめの環境での録音です。センダイムシクイがさえずっています。さえずりの音のメインは、「チヨチヨ」が3,000~6,000Hz、「ジー」が8,000Hzまで伸びています。ヒガラに比べて、濁った音で「ジー」は声紋がぼやけるほどの濁った音です。
 X8のセンダイムシクイの録音。

 DR-05のセンダイムシクイの録音。

 終わりの方で、アオバトが鳴いています。アオバトの鳴き声は、低いために環境のノイズに埋もれがちですが、X8はアオバトの声が比較してはっきり聞こえると思います。ノイズとのバランスの違いが、わかればと思います。

 X8の最高品位、192kHz/32bitで先日のカミナリを録音してみました。大きな音ですので爆音に注意してください。

 マニュアルモードで、録音ボリュームは30dbです。wavからmp3に変換していますので、果たして意味があるのか疑問ですが、参考のためにアップしておきます。

2022年6月 4日 (土)

タスカム Portacapture X8を使ってみた-追加 1

 X8のレビューを6回連載いたしました。複数の方から音についての感想が欲しいとのメールをいただきました。
 たしかにそのとおりで、音についての言及はさけてきました。というのは、音のとらえ方は人によって耳の形が違うように違って聞こえるはずで、評価はとても難しいのです。ですから、客観的な数字で表現したいのですが、あまり思いつきません。そのため表現が主観的にならざるをえず、果たして参考になるのか不安ですが、少しでもご希望に添えるように書いておきます。
 といって録音機で、音の善し悪しを避けることはできません。音の表現は難しいので、数字で表現できる部分とDR-05と比較できる範囲で、お伝えしたいと思います。
 カタログから読み取れる音の性能の一つにS/N比があります。S/N比は、S=signal、N=noise、単位はdbです。数値が大きいほど機種から出るノイズが少なく、その影響を受けにくいことになり、性能が良いということになります。
 X8のS/N比は、101dBです。ソニーの録音機を列記すると、PCM-D1が96dB以上、PCM-D100が100dB以上、PCM-D50が93dB以上。ちなみにDR-05は、92dB以上です。カタログには、いろいろ条件が書かれていますが、S/N比の項目にある数字を拾っています。
 3桁を超える録音機は少なく、X8はその少ない機種の一つとなります。また、DR-05はPCM-D50なみのS/N比で健闘していることがわかります。
 ただ、ノイズの多いの自然のなかで、S/N比の違いが分かるほどの音の差を感じることはないと思います。ここでは、S/N比が良いということは本体が立てるノイズの少ない機種であること、そしてメーカーが力を入れている機種であると言えます。
 日光での長時間録音では、比較のためDR-05をタイマー設定し並べて録音をしています。録音設定は、48kHz/16bit、ステレオ、録音ボリュームはX8は50db、DR-05は入力レベル90(フルボリューム)です。
 まず、環境音のノイズの大きさです。波形表示は、モノラルに変換、小鳥たちがさえずる直前のなにも鳴いていない10秒です。おそらく、現場では無音に聞こえる状態です。
 X8の波形です。

X8noise

 DR-05の波形です。

Dr05noise

 X8は-45db、DR-05は-33dbあたりで、DR-05のほうがノイズを拾っていることがわかります。録音機を山側に向けているので指向性のあるX8がノイズが少なく、無指向性のDR-05が反対側を流れる川の音を拾っているためだと思います。
 また、この部分をスペクトル表示させてると、DR-05のほうが全体に音があることを示す色がついていますが、X8ではその色がありません。環境のノイズの捉え方に違いがあることがわかります。ノイズの少ない方が目的の鳥の声がはっきりするわけで、X8のほうがクリアに聞こえていることになります。
 X8のスペクタクル表示です。

X8

 DR-05のスペクタクル表示です。

Dr05

 比較のついでにX8、DR-05ともノイズのパターンは均一です。ありがちなのが、パターンにムラがでることがあります。たとえば、OLYMPUSのLS-14では8~9kHz、11kHzが薄く10kHzが濃いというパターンが出ます。最初は、このようなノイズが環境にあるのかと思いましたが、どこで録音しても同じパターンなので、LS-14側の問題と判断いたしました。
 LS-14のスペクタクル表示。パターンにうっすらとムラがあるのがわかります。

Ls14noise

 X8はかなりシャープなステレオ感、言葉を変えると臨場感のある音が録れます。たとえば、ヘッドホンで編集していると「ガサッ」というノイズがしたことがあります。思わず、音のするほうを向いてしまいました。私の左後ろから聞こえたのです。最初は、後ろにある本棚から何か落ちた音かと思ったほどです。今まで音の編集をしていて、このようにだまされたことはありません。こうしたステレオ感は言葉を変えると臨場感であり、通販サイトのレビューでは、音に臨場感があると評価されていました(つづく)。

2022年5月18日 (水)

タスカム Portacapture X8を使ってみた-その6

 所詮、多くの録音機は室内で楽曲を録音するために設計されています。数10m、ときには100mも離れたところで鳴く、小さな鳥の声をノイズだらけの自然のなかで録音するための機能は望むべくもありません。
 たとえ室内の録音のためとはいえ、新機種が発表されるたびに多くの期待を持って購入し使用してきました。今回のタスカムのX8は、メーカーがフラッグシップ機と謳っているだけに期待も大きなものがあります。
 それだけに気になるところを本文でも取り上げてきましたが、加えてのポイントを下記にしておきます。
 X8の売りは、大型の液晶ディスプレイです。しかし、低温あるいは高温でのディスプレイの表示、タップの反応が可能かどうかの心配です。カタログでは「使用環境が0~40度」になっています。しかし、冬の北海道はもとより、日光あたりでも夕方や早朝はマイナス10度になることは少なくありません。寒いからと言って録音できないとなると、わざわざ寒いなか出かけた意味が無くなってしまいます。少なくとも低温は、カタログ値以上の機能があることを期待します。
 また、宮城県伊豆沼のマガンの録音では、おそらくマイナス20度になっていたと思います。DAT録音機は、あっと言う間にバッテリーが放電して録音は不可能でした。電池まわりの機能も問題ないことも期待します。
 防水性は望むべくもありませんが、防滴性といえるくらいの機能は欲しいものです。雨予報では野外に長時間置くことはしません。しかし、夜明け前からの録音では朝露にしっとりと濡れます。また、寒いところから回収して、車に乗せただけで結露の可能性があります。今までDR-05では、かなり過酷な使い方をしていますが、不具合は生じていません。X8にも、同等の機能があればと思います。
 この他、もろもろでは。
 むき出しのマイクが不安です。マイクガードがあると安心です.
 裏面にある三脚ネジの場所が電池の入っていない状態での重心にあります。実際は電池を入れての使用なのですから、もっと後ろにないとバランスが悪いことになります。
 裏面上部にある5mmほどのゴム(滑り止め?)はとれやすく、すでに2つとも失って、深い穴が2つ開いています。野外でゴミが入らないか気になります。とれない工夫が必要です。
 なお、Bluetoothによるスマホからのリモートコントロールなど、未検証の機能があります。

 

 おわりに
 2022年5月上旬現在、アマゾンではたえず残り数点、ヨドバシカメラではお取り寄せになってしまいました。市場在庫もそろそろ無くなってきたようです。価格そのものは、6万円台で推移していますので、このまま安定して供給されるようになることを祈ります。
 X8を使用して感じるのは、スマホみたいだなという感想です。タッチパネルの操作やアプリがインストールされているのは、スマホそのものです。いわば、小型のコンピュータといっても過言ではありません。
 アナログ的な録音機でデジタル音源を録音していた時代から、録音機も本格的なデジタルになったという印象です。これからの録音機は、ボタン操作が無くなりタッチパネル、あるいはスマホからの操作となりAIも搭載され、野鳥の鳴き声の種名をファイルのタイトルに付けてくれる時代が来るのではないかと、想像させる機種です。
 いずれにしても、未来の録音機を変えた機種として将来に名を残す機種になるかもしれません。
 最後に面倒な質問に答えていただきましたティアック株式会社音響機器事業部国内営業部の山本浩史さんにお礼申し上げます。(おわり)
 
 サンプル音源
 以下にX8で録音した音源をアップいたします。
 いずれも30秒ほどを切り出してのサンプル音源です。ただ、このブログではアップできるのはmp3のみです。そのためwavからmp3に変換しています。なお、フェードイン、フェードアウト、変換以外の編集加工はしていません。
 ノイズと目的の音とのバランスなどおおまかな音を感じが伝わればと思います。

 マミチャジナイ 2022年4月10日 六義園[48kHz/16bitで録音]

 オナガ 2022年4月20日 六義園[48kHz/16bitで録音]

 シジュウカラ さえずり 2022年4月26日 六義園[48kHz/16bitで録音]

 シジュウカラ さえずり 2022年5月17日 六義園[192kHz/32bitで録音] 


 シジュウカラ 地鳴き 2022年5月17日 六義園[192kHz/32bitで録音]

 シロハラ 2022年4月30日 六義園[48kHz/16bitで録音]

 クロツグミ 2022年5月10日 日光市[48kHz/16bitで録音]

 ヒヨドリ 2022年4月13日 六義園[192kHz/32bitで録音] 

 

2022年5月17日 (火)

タスカム Portacapture X8を使ってみた-その5

実際の録音-マニュアルモード
 つぎにマニュアルモードで録音してみました。
 Mマークをタップしてマニュアルの画面にします。内蔵マイクの2チャンネル。左右にあるキヤノンプラグからの入力のそれぞれ2チャンネル。合計6チャンネルの入力の設定画面となります。
 外部入力は行いませんので、3~6のチェックをはずします。内蔵マイクのみ赤い表示にして、録音してみました。なお、入力ゲインは、野鳥モードと同じ最大の50dbです。
P1120118
 音源を聞いて野鳥モードとどこが違うのか、比較が難しいです。同じ、自然音を録っての比較ができませんので、今のところ音の評価は保留です。
 マニュアルモードの録音の大きな違いは、mixファイル(マスターファイル)が形成されることでした。本来のファイルと同じ容量ですので、倍のメモリを消費することになります。
 これもタスカムに問い合わせたところ、「mixファイルは必ず作成されます。次のファームウエアの更新で改善できる見込みです。」とのことで、しばらく辛抱のようです。
 
 実際の録音-高品位録音
 X8は、192kHz/32bitの高品位での録音が可能です。現在、同じグレードの録音が可能なハンディレコーダーは、ZOOM F3だけのはずで、2番目の機種となります。
 192kHzですと、高音が960,000Hzの高さまで録音できます。計算どおりほぼ4倍です。ここまで高い声で鳴く鳥はいないと思いますが、コウモリは録れそうです。この他、実は高い声で鳴く生き物がいて、その研究に寄与しそうです。
 また、32bitFloatのメリットは、メーカーサイトや使用した方のブログを見ますと、オーバーピークした録音のレスキューがアプリでできるらしいです。今まで、録音していて鳥が近くに来て鳴き音が割れてしまった経験は、数えるほどしかありません。そうした音をフラットにできるということのようです。実際、鳥での検証は難しそうですが、拍手や楽器での急な大きな音を修復することはできています。
 ただ、データ量が増えますので、長時間録音には向いていないと思いました。
高品位の音源の検証は、再生装置によって難しいと思います。立派なアンプと大きなスピーカーのセット、あるいは高級なヘッドホンとか。それ以前に耳も良くないと違いを評価できなでしょう。私の今まで経験では、高品位の録音は鳥の声がクリア、高い倍音までフォローできた場合、深みのある鳴き声になる。あとは、環境の広がりが良い感じに聞こえるということでしょうか。ただ、ブラインドテストをやられたら、その区別はできないかもしれません。
 現在、高品位録音は今のアプリや知識では、あまりメリットを感じません。しかし、将来的に野鳥の声の解明や分析の発展によって大きな発見があるかもしれません。それと、データ量とバッテリーの消耗のデメリットを天秤にかけての判断ということだと思っています。
 あと気になることをひとつ。36bit録音で録音したファイルをAuditionCCのspectrum表示すると、高音に一筋ノイズが出ます。
11
 95.5kHzまで表示させると、25.5kHz、51.0kHz、76.0kHzに横一筋ノイズが見えます。幅は細く、拡大気味にしないとわかりにくいパターンです。高音ほどパターンは薄くなっています。実際のノイズを拾っている可能性があるので場所を変えて録音しましたが、どこでもこのパターンが出ました。実際は聞こえる音ではありませんが、気になります。
 タスカムにたずねたところ「現在対策中となっております。」とのことで、いずれは解消されることでしょう。(つづく)

2022年5月16日 (月)

タスカム Portacapture X8を使ってみた-その4

録音の実際-野鳥モード
 録音アプリに行くとLAUNCHER画面になります。と言っても言葉の定義が不明確で戸惑います。要するに操作のための画面は音楽アプリ、それぞれのモードをLAUNCHERと呼んでいるようです。合わせてアプリランチャーシステムと言うそうですが、戸惑います。
 とにかく、半円形に6つのモードが並んでいます。使うのは”M”とあるマニュアル録音か、籠ジャマーのマイクマークのFieldでしょう。
P1120123
 まずは、「野鳥」のあるFieldで録音してみます。
P1120114
 Fieldには、野鳥のほか市街、自然、乗り物があります。野鳥に設定するとGAINがHIGH、低域カット、入力が50.0dbと、もっとも大きな音で録音できるようになっています。低音カットは、低音で鳴くフクロウなどの鳥が目的の場合は、offにします。
 左下にある入力設定をタップすると、録音設定の状況を確認できます。ゲインが50db、入力がHigh、低音カットがoffなどをチェックできます。
 実際に長時間録音をしてみました。
 今までの録音機と大きな違いは、ファイルの大きさが最大4Gになることです。48kHz/16bitで録音ならば6時間分のファイルとなります。今までは2Gの壁があり3時間までとされていたものが、倍となります。そんな大きなファイルを扱ったことがなかったので果たしてアプリで読み込め、編集できるがどうか心配になりました。しかし、私が使用しているAdobe Auditionでは問題なく読み込め編集できました。もちろん、読み込みや声紋表示は時間がかかります。
 ちなみに、私のハード環境は、CPUがIntel Core i7-6700K(CPU 4.00GHz)、メモリが16Gです。
 録音と当時に拡張子がbinが付いたファイル、1kGが形成されていました。この件について、タスカムに問い合わせたところ、「binファイルにてX8内のファイルの管理をしております。音源の情報には関係ありませんので、PCに移してX8に戻さないのであれば不要です。特にマルチで録音し複数のファイルが同時に作成される場合、binファイルのデータにて、1つのまとまり(プロジェクト)として表示したりしています。」とのことで、PCに移すときに削除するか、移した後フォーマットすることで、削除すればよろしいでしょう。
 Adobe Auditionには、マーク機能があります。音源の任意の位置にマークを付けて、その内容をメモし残すことができます。長時間の音源の中から、あとで目的の鳥の声を探すのに便利な機能です。また、X8には録音中、あるいは再生中にマークを付けることができます。さらに、ピークや時間を設定してマークを付けられます。
 ところが、X8で録音した音源をマーク機能で見ると、山のようにマークが形成されていました。音源そのものにはマークは付いていないのですが、マークの表示のパネルにずらっと並んでいます。
21  
 これについてタスカムの問い合わせたところ「ファイル作成と同時に先頭アドレスにマークを 99 作成する仕様となっております。手動または自動でマークが入ると先頭アドレスからその位置にマークが順番に上書きされます。」とのことで、現状の仕様でした。マークを消すのはそれほどの手間ではありませんが、一手間かかるめんどくささがあります。(つづく)

 

2022年5月15日 (日)

タスカム Portacapture X8を使ってみた-その3

 録音設定 
 スイッチは、スライドさせるもので右サイドにあります。幅3mmで刻みも浅く、急いでいると素手でもすべります。設計者は、冬の寒いときに手袋をはめての操作をまったく想定していないでしょう。

P1120101

 また、手持ち録音のときは、いちばん上のホールドにしておくことが多いのですが、ホールドを解除するのに硬いため力を入れすぎて下のOFFまで移動されてしまうことがあります。また、onにして起動するまで待つのはイラつきます。ホールドボタンを別にするか、スライドスイッチのスムーズさを改良してほしいところです。
 最初のスイッチを入れると、日時設定を要求されますので、適宜入力します。
 ホームボタン(■)を押すと、ホーム画面になります。画面左上にある縞模様のアイコンをタッチすると、設定メニューが出てきます。
 まずは、録音設定です。
 ファイル形式は、wavとmp3を選べます。野鳥録音の場合、高音が省略されるなど音の欠損のないwavを選びます。
 サンプリング周波数の設定です。長時間録音ならば汎用のきく48kHz/16bit、短時間で手持ち録音ならば最高品位の192kHz/32bit Fioat。この他の設定もありますが、汎用が最高品位か、この2者からの選択ではないでしょうか。
 録音待機=on、自動録音=off、その他は適宜です。

 一般設定
 「入出力設定」では、ファントム電源、マイク設定などは外付けマイクを利用しない限り設定は必要ないでしょう。スピーカーも野外では音を流すのは野鳥録音の数少ないマナー違反となるので、offにしておきます。録音後のチェックは、イヤフォンで行うようにします。その他は適宜です。
 「カメラ設定」は、カメラと使わなければ、そのままです。
 「その他の設定」は、マニュアルをお読みいただき必要なものを適宜設定してください。
 「システム」では、フォームウエアのバージョンの確認、日付の設定、SDカードの初期化などを行います。多くの機能がソフトウエアに依存していますので、フォームウエアは最新のバージョンにするようにします。2022年5月現在のバージョンは、1.10です。
 「電源/画面設定」では、電源自動オフはon、電池選択は電池駆動、電池タイプはNi-MH、省電力モードはon、省電力モードは適宜、バックライトの時間は適宜、明るさは標準(長時間録音の場合、暗いに設定)、インディケータは適宜、また全消灯、コントラストは適宜です。(つづく)

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