考証

2017年6月20日 (火)

サンショウクイの幼鳥の声-地鳴き問題

 サンショウクイは、山椒の実を食べ辛くて「ヒリリンヒリリン」と鳴くので山椒食い、この鳴き声は、求愛と縄張り宣言の意味を持つ”さえずり”とされています。以前、エナガとケンカをしているサンショウクイが同じような鳴き方をしていたので、ほんとうにさえずりで良いのか疑問に思っていました。また以前、拙ブログにさえずりとして記事を書いたところ、越冬地の東南アジアでも同じ鳴き方をしていたという報告をもらいました。サンショウクイの地鳴きは、録音はもちろん聞いたことがないので、この鳥のさえずりと地鳴きの違いが気になっていました。
 先週、南信州在住のM松さんから、名前のわからない瀕死の雛を拾ったと相談を受けました。M松さんは、最初のバードカービングの入門書「バードカービング入門」(朝日ソノラマ・1980)に載っているツバメの作者で、当時は学生。ツバメの細くて長い尾を創り、木で羽毛を表現ができると確証する作品を作ってくれました。今は自然豊かな環境の地に根を下ろし、地元ではその風貌から監督の愛称で親しまれています。言っておきますが、現場監督ではなく映画監督です。
 ところで、瀕死の雛は写真を見るとサンショウクイでした。「クルマのボンネットにベッタリと張り付いていました。死んでいるものとばかり思い取り除こうとするとかすかに震えているので、とりあえず緊急保護して保温してみたところ元気を取り戻しました。」とのこと。誘拐か保護か微妙な状態ですが、夕方で放鳥しても親と遭遇する可能性は低いと判断、また青虫を与えたら食べたとのことでしたので、取りあえず一晩様子を見てもらうことにしました。
 ということで、鳴き声を録音してもらいました。なんとM松家には、子どもの音楽会を録音するために奥さんが購入したオリンパスの最新機種LS-P2があるというではないですか。それも一回も使用していなのですから、サンショウクイが録り下ろし。さっそく餌をねだる声を録音してもらいました。M松さんのご了解を得て、下記にアップいたします。
 オリンパスLS-P2で録音。1,000Hz以下のノイズを軽減、ボリュームの調整をしているだけです。



 なんと幼鳥もさえずりとあまり変わらない鳴き声です。幼鳥がさえずるとは思えず、サンショウクイは、さえずりと地鳴きの鳴き方にあまり違いがない鳥と言えます。
 以下は推測ですが、餌ねだりも求愛、縄張り宣言の意味で共通しているのは”自己主張”です。この自己主張の強弱、テンポなどで彼ら自身、鳴き分け聞き分けているのではないでしょうか。
 出会いの少ない鳥だけに、なかなかサンプルを集めることができませんが、今後野鳥録音が普及すれば、いろいろ解明できる可能性を秘めている鳥でもあります。
 ところで、放鳥をしようと外に出したところ、餌をねだって付いてくるほどなついてしまったとのこと。それならば、部屋のなかで追い回しリハビリをするなど、放鳥計画を立てていました。しかし、残念なことにM松家で10日生きながらえたサンショウクイの幼鳥は、娘さんの見ている前で息絶えてしまったそうです。野生動物は難しいですね。M松家には、いろいろ思い出を残してくれたことと思います。
 サンショウクイの幼鳥の冥福を祈ります。
 M松さん、いろいろありがとうございました。

追記:「サンショウクイ 地鳴き」でネット検索すると、Youtubeに権現山で8月に撮影された動画が投稿されていました。これでは、羽繕いをしながら「ピッ」という声で鳴いているようすが、撮影されており地鳴きとなっています。声紋を採って見ると、1声の「ピッ」に聞こえますが、実際は3~4音の連続で、「ヒリリン」の「ヒ」の部分に相当するパターンを示していました。いつも鳴いている声の断片という感じです。

2017年6月 3日 (土)

伊香保の謎の鳥・考

 謎の声が蒲谷鶴彦先生に送られたのは、2001年6月のことだったと思います。私の手元にある音源ファイルの日付が、2001年6月7日になっています。音源は、カセットテープだったと記憶しています。群馬県の伊香保森林公園で野鳥録音のベテランのM野さんがこの年の2001年、そして翌年の2002年にも収録しました。
 野鳥録音の仲間のTさんが、Birder誌の編集長をしていた2003年5月号の特集「バードリスニング入門」に、コラムネタとして紹介されていたと思います。思いますというのは、バックナンバーを本の山の中から見つけ出せないのでもうしわけございません。
 また、検索すると下記のURLが出てきますが、残念ながら音源へのリンク先にはつながりませんが、大まかの状況が書かれています。

http://www.kimuhiro.sakura.ne.jp/homepagekimuhiroSakura/kimuhiro50/newbird43/newbird842.html

 そのため、記憶と手元の音源から概要を書きます。謎の声は「ポ、ポ、ポー」と3声で柔らかい音質の声です。音は600~900Hzの間にあり、最後が尻上がりに聞こえます。4月下旬から鳴いていたとのこと。私が最初に聞いた印象では、ヤツガシラの声に似ていると思いましたが、姿を見たという人がいて「カッコウの仲間だった」と伝え聞いています。蒲谷先生は、この鳥のために伊香保に一度行っていますが、録音できませんでした。先生は「伊香保の謎の鳥ってなんだろう」と、ときどき気にとめておられました。そのため、先生がお亡くなりになってからも機会があれば解明したいと思っていました。
 今までの事実から、夏鳥、森林性の鳥、「ポポ」系の声で鳴く、そしてカッコウの仲間となるとツツドリが思い浮かびます。ただ、ツツドリのさえずりは2声で、それが3声になるようなバリエーションは、聞いたことがないので懸案となっていました。
 最近、ツツドリの分類に動きがあり、チェックしてみました。かつて、ツツドリはヒマラヤから中国、ロシア、そして日本まで広く分布する学名Cuculus saturatus、英名Oriental Cuckooとされてきました。ただ、マーク・ブラジルさんの”Birds of East Asia”によると、中国、台湾のものを学名Cuculus saturatus、英名Himarayan Cukkoo(Hymarayan Cukkoo)[和名:ヒマラヤツツドリ(暫定)]として、ロシアから日本のものを学名Cuculus optatus、英名Oriental Cukkoo[和名:ツツドリ]に分けています。これは、亜種といわれていたものを別種にしたものです。問い合わせのあった当時もネパールのカセットテープを買ったりして、ヒマラヤツツドリの声を探したのですが、聞くことができませんでした。ヒマラヤやインドの図鑑には、鳴き声が4声とか書かれていたのですが、実際の声を聞かないことには話になりません。
 そうなると、ヒマラヤツツドリの鳴き声が気になります。あれから10数年たって、今では聞くことができます。まずは、”Birds of East Asia”のe-Book 版をお持ちの方は、聞いてみてください。収録されているのは、中国のHunanで録音されたもので「ポ、ポ、ポ、ポ」と4声のパターンで鳴いています。この音質が、伊香保の謎の鳥によく似ていることに気がつきました。
 そのため、xeno-cantoのCuculus saturatusの声を聞いてみました。中国、インド、ネパールで収録された音源がアップされています。
 http://www.xeno-canto.org/explore?query=Cuculus+saturatus
 たしかに4声が多いのですが、5声もあります。ということは、3声もあるかもといったところです。
  ここまで書いたところで、Tさんからコーネル大学のサイトに音源がアップされているとの情報をいただきました。
https://search.macaulaylibrary.org/catalog?date.beginMonth=1&searchField=species&hotspot=&date.beginYear=1900&date.endYear=2017&hotspotCode=&taxonCode=&view=Gallery&regionCode=&action=show&date.yearRange=YALL&date.endMonth=12&onlyUnrated=false&includeUnconfirmed=&behaviors=&sex=&date.monthRange=M1TO12&start=0&count=30&mediaType=Audio%2CPhoto%2CVideo&sort=upload_date_desc&userId=&q=Cuculus+saturatus&species=&region=&user=&age=
 4声が多いのですが、3声もありました。ただ、尻上がりになっていない平坦な鳴き方をしています。この鳥の分布域はバードウォッチングがさかんとも思えず、アップされている件数は多くありませんので、まだバリエーションがある可能性があります。ということで、解明とまでは行きませんが、伊香保の謎の鳥として、ヒマラヤツツドリを可能性のひとつとしてあげておきます。
 じつは、伊香保のM野さんとは、以前メールのやりとりをしていましたが、音信不通となってしまいました。そのため、肝心の謎の鳥の声をアップすることができませんが、これらサイトにアップされている音源を聞いていただき、頭の片隅にでも記憶しておいていただければと思います。鳴き声で発見できる、出るかもしれない種となります。
 ということで、鳴き声から日本産の鳥が1種増えるかもしれないと思うと、わくわくします。

2017年5月31日 (水)

夜行性の鳥って?

 S木♂さんのお誘いで、東京西部に生息するミゾゴイなど夜行性の鳥の調査をお手伝いしています。
 ミゾゴイの研究家・川名国男さんの『ミゾゴイ-その生態と習性』(2012・自費出版)によれば「ミゾゴイは夜行性の鳥ではない。夜に鳴くが雛には昼間、食べ物を持ってくるし活動している」という主旨のことが書かれています。たしかにその通りで、鳴くのは日没から夜明けまでですが、昼間に姿を見ることがあります。林道を車で走っていると前を横切ったり、登山道からふわっと舞い上がったり、昼間も活動していることは間違いありません。
 同じように夜行性の鳥と言われるトラツグミは、いかがでしょうか。鳴くのは、かなり暗くなってからです。だいたい初夏の森ならば午後9時以降、多くの夜行性の鳥が日没とともに鳴き始めるのに対して、完全に暗くなってから鳴く傾向があります。鳴く時間だけで見れば、完全な夜行性の鳥です。しかし、昼間も良く出会います。越冬期ならば、明るい海辺の防風林でさかんに地面を歩いているという出会いです。繁殖期、ミミズを口いっぱいに加えて雛に与える写真を見たことがありますが、昼間です。また、林道の際でミミズを探す姿を見ることがあるのではないでしょうか。これを見れば、トラツグミも夜行性とは思えない姿です。
 このほか、ゴイサギはいかがでしょうか。日没後にねぐらから飛び立ち、活動を始めますが、昼間もよく動いています。ゴイサギの研究家・E藤さんは、薄暮性という言い方をしていますが、そんな分け方も面白いと思います。
 フクロウやコノハズクが昼間鳴いているのを聞いたことがあります。このほか、夜行性と言われている鳥を見ると、いろいろ例外が出てきそう。
 今後の課題としての話題でした。

2017年5月28日 (日)

渡ってきて2週間しかさえずらない鳥たち

 まだ、ヤイロチョウのさえずりを録音したことがありません。なんでも、4月中旬に渡ってきて、その後2週間しかさえずらないと聞いています。同じく、ミゾゴイも4月下旬のみ。半月間しかさえずらないと言われていましたが、やっと録音できました。その後、同じ場所で録音をしつづけたS木♂さんによると毎日は鳴かないことがわかりました。雨や風の日もあるでしょうし、他の仕事を考えたら2週間も半月も一瞬です。きわめて録音のチャンスの少ない鳥たちということになります。
 2週間は、ほんとに短いと思いますが、サンショウクイ、コサメビタキといった鳥たちはだいたい5月いっぱいで鳴きやみます。さえずり続けるのは、1ヶ月がいいところでしょう。オオルリ、キビタキが6月まで鳴き、さえずりの期間が長い鳥たちです。それでも、7月になったらもう録音のネタは、標高の高いところへいくか、北海道など北へ行くかありません。
 1970年代学生の頃、夏休みに入ると軽井沢に飛んでいきました。夏休みですから7月10日以降です。それでも、昼間たくさんの鳥が鳴いていて、姿と声を確認してバードウォッチングの腕を磨きました。それが、今ではシーンとしてます。
 前回の「小鳥は、夜明け前後しか鳴かなくなったのか?」とも関連するのですが、基本は数の減少でしょう。結果、密度が低くなり競争する必要がなくので、さえずる必要がない、そのために早く鳴きやんでしまうのではないかと思います。
 たくさんいれば、独身雄がいて雌を求めて鳴く。となりのなわばりの既婚雄は、それにつられて、あるいは雌を奪われないためにさえずらざるを得ないということになると思います。
 これから、さらに密度が減れば、さえずる期間が短くなる種類が増えるでしょう。それと、同時に競争が減るわけですから、さえずりが単純になったり短くなる可能性もあります。現在の音と未来の音と比較すると、違いが出るかもしれません。まずは、今を録音しておくことかな。

2017年5月26日 (金)

小鳥は、夜明け前後しか鳴かなくなったのか?

 奄美大島のオオトラツグミは「夜明け前10分間しか鳴かない」と言われています。これを聞いて、これは貴重、録音するのはたいへんだと思いました。実際、奄美では録音機をどこに置こうか、あたふたしているうちに鳴きやんでしまった経験をしています。
 ところが、夜明け前の録音をするようになると、オオトラツグミのように早朝の短い時間しか鳴かない鳥がけっこういることに気がつきました。
 最初に気がついたのは、マミジロです。夕方、森のなかで日が沈む瞬間に鳴き始め、周辺でも数羽のマミジロが呼応するように鳴き、数分で鳴きやんでしまいました。このときの録音は、わずか3分でした。同じように早朝にも鳴きます。しかし、朝はアカハラなどの大合唱にまぎれてわかりにくいのですが、やはり10分程度です。オオトラツグミとよい勝負です。
 タイマー録音をするようになると夜明け前後の録音が驚異的に増えましたので、このような鳥が多いこともわかりました。意外と思われるかもしれませんが、コジュケイも場所によっては夜明けに1回鳴いて、あとは「シーン」というパターンがありました。減ったと言われてるコジュケイ、昼間は鳴かないので気がつかないだけかもしれません。
 実は、奄美大島のオオトラツグミも、繁殖期初期には長くさえずり続けることがあるそうです。同じように、夏鳥たちも渡ってきたばかりの時は、長く鳴くけれど、なわばりが安定するとさえずりの頻度は減っていき、夜明け前後に少し鳴いて終わりになるのではと思います。
 あと、ポイントは密度で、さえずりって周辺の仲間が多く反応があれば鳴き続けますが、それがないと鳴かないことがあると思います。録音を聞くと、さえずっている奥には必ず別のさえずりが聞こえます。鳴き合う雄がいないと、鳴きやむか、短いのです。また、密度が高ければ独身雄がいて雌を求めて鳴き続けるので、それにつられて既婚雄が昼間も鳴くのではとも思っています。密度が低ければ朝、周辺の雄と存在を確認しあったら終わりというパターンではないかと推測しています。
 だいたい、私がタイマー録音をしかけた録音機を森に回収に行くのは、午前9時頃です。そのころの森は、しーんと静まりかえっています。しかし、夜明け前後の録音を聞くと、うるさいくらい鳴いています。
 それを聞くと昼間、私たち見ている鳥相って、そこに住む野鳥の種類も数も反映していない可能性が高いことを実感します。
    

2017年5月 9日 (火)

不明ムシクイのさえずりは?

 六義園を常連さんのK藤♂さんと歩いていたら、ムシクイらしい声がすると教えてくれました(2017年4月20日)。私には聞こえない高い音で鳴いているようで、とりあえず彼の指さす方向に録音機を向けて録音しました。このような声です。
 PCM-D100で録音、ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。



 「ツツツツツ・・・」あるいは「チチチチチ・・・」でしょうか。カタカナでは表すのが難しい音色です。間を開け、長くて24回、短いと10回程度連続しています。音の高さは、4,500~7,500Hzと高く、私には聞こえづらい音域です。声紋のパターンは、への字に似た高い音と低い音が重なり合うように交互にあり、それが「ツ」という一つの音に聞こえます。さて、何でしょう。
 連続音で鳴く鳥としては、ムシクイ類が多いです。たとえば、コムシクイやアムールムシクイが頭に思い浮かびました。そのため、まずは『鳴き声ガイド日本の野鳥』をチェック、続いてBrazilさんの”Birds of East Asia”e-Book版のムシクイ類のページに載っている鳴き声をかたっぱし聞きました。このほか、ここ2週間はヒマをみつけては、ネット上にアップされている音源も聞きましたが、ぴったりと一致するものを見つけることができませんでした。
 ちなみに、コムシクイだと多少尻上がりになり、ピタッと鳴きやむ感じです。アムールムシクイは、だんだん強くなり弱まるという抑揚があります。このような鳴き方のみならず、声紋のパターンも一致しません。ただし、バリエーションもあると思いますので、いちがいに言えないところが難しいところです。そのため、飛島でムシクイ類を聞き慣れているY川さん。ロシアで実際にムシクイ類を聞き録音している北見のH田さんにおたずねしました。お二方とも「コムシクイやアムールムシクイではない、何かはわからない」と異口同音に返事をいただきました。
 ただ、Y川さんからは「一本調子で鳴く変なシジュウカラに聞こえたというのが第一印象です」とのコメント。その後、K藤♂さんからも「同じ声が聞こえたので、姿を探したらシジュウカラがいた」との報告を受けました。さらに、5月3日にテストのため置いた録音機に、遠いものの同じパターンの声が入り、その前後にシジュウカラが鳴いていました。渡り途中のムシクイ類が2週間も滞在するとは思えず、現状ではシジュウカラ説が濃厚です。
 もし、シジュウカラだとすると、バリエーションの多さには驚かされます。また、それぞれには意味があり、いずれは解明されるかと思うとわくわくします。

2017年4月25日 (火)

高い声で鳴くシジュウカラ

 タイマー録音をしていると8,000Hz前後のヤブサメ・クラスの高い声が、入っていることがあります。種類は不明、姿の見えないタイマー録音のもどかしさです。しかし、現場にいても私には聞こえてない音域ですから姿の確認をしようとも思わないことでしょう。ただ、前後に鳴いている声から、キバシリ、キクイタダキ、エナガ、そしてシジュウカラなどをうたぐっています。
 先日、日光の雑木林に置いた録音機に高音の鳴き声が入っていました。続けて聞こえたのは、シジュウカラのさえずり。高音は、シジュウカラだと思われます。シジュウカラが、このような高い声で鳴くのは若い頃も聞いたことがありませんでした。
 YAMAHA W24でタイマー録音。モノラルに変換。ボリュームのアップ、2,000Hz以下のノイズの軽減をしています。



 高音を残すために高品位のmp3フォーマットにしています。バイト数が多くなるので、モノラルに変換しています。
 「ツーツーツー」あるいは「チーチーチー」と聞こえる声で、7,000~8,000Hzの狭い音域にあり3声続けて鳴いています。このあとにシジュウカラの「ツピー、ツピー」が聞こえるはずです。リズムと鳴き方は、幼鳥の鳴き合う声に似ていますが、幼鳥の鳴き合う声は6,000Hzに中心があり8,000Hzくらいまでです。幼鳥の声に比べて、高い音域で鳴いています。なおこの鳴き声は、スピーカーやイヤーフォンによっては聞きづらいかもしれません。さらに、個人によって聞きづらい音域ですので、ご了承ください。
 この同じ部分の声紋表示です。

Great_tit170425

 左右が51秒、天地が10,000Hzです。聞くかぎり同じ距離で鳴いているように聞こえ、声紋を見ても同じ鳥がそのまま鳴き続けているように見えます。「ツーツーツー」と鳴いてさえずっていますので、前奏のような感じがします。
 いままで録音したシジュウカラのさえずりをチェックしてみたところ、同じような高音が前奏に入っている例が1件ありました。面白いのは、同じ日光の雑木林で5年前の録音でした。この地域特有の鳴き方なのか気になるところですが、シジュウカラがこのような高音で鳴くことがわかりました。
 それにしても、シジュウカラ一つとってみても、いろいろな鳴き方をするのですね。

2017年4月24日 (月)

鳥の声が聞こえない!

 ここ2週間で『鳴き声から調べる野鳥図鑑』、『野鳥の声がずっと流れるCD』、そして『野鳥』誌5月号の記事が、いっきに世の中に出たことになります。まるで、がむしゃらに仕事をしていたように思えるかもしれませんが、一冬こつこつと仕事していた結果です。たまたまタイミングが重なっただけのこと。今は、のんびりしています。
 ところで、『鳴き声から調べる野鳥図鑑』と『野鳥』誌5月号で、年取ってくると聞こえない野鳥の声について書きました。ただ、いずれも字数に制限があったため、細かい情報まで伝えることができませんでした。より詳しく、また興味のある方のためにsyrinxの本編のほうに記事をアップいたしましたので、ご覧いただければと思います。

   http://www.birdcafe.net/howto/howtoall.htm

 このなかの「鳥声鳥語」→「鳥の声が聞こえない!」です。
 私自身、目が悪くなったと思ったのは『清棲図鑑』の巻末にある文献リストが読みづらくなったからです。いつも見ている新聞などでも目が悪くなったことは、気がつきます。しかし、耳の方は会話やTVの音が普通に聞こえていても、加齢により鳥たちの声の音域、高い音が聞こえなくなっていることがあります。これには、なかなか気がつきません。
 気がついたら、せっかく記録したセンサスデータが使えないかもしれません。鳴き声から鳥を見つけられなくなっているかもしれないのですから、リーダーの立場にある人は深刻です。そうならないためにも、ぜひご一読願いたいと思います。また、高齢者のみならず若い人にも知っておいて欲しい知識ですので、合わせてお読みいただければ幸いです。

2017年4月22日 (土)

高圧線のノイズ

 今回の録音で、日が沈み静かになり夜の鳥が鳴くのを待っていると「チリチリ」という声が聞こえてきました。山の斜面から聞こえてきます。虫か鳥か、あるいはムササビなどのケモノなのか、不明です。翌日、回収に行くと同じような声が聞こえて、なんなのだろうと思っていました。録音した音源をチェックすると、この音は強弱を繰り返し、一晩中鳴っていました。YAMAHA W24で録音、ボリュームのアップ、1,500Hz以下の低音ノイズの軽減をしています。



 「キュンキュン」あるいは「チュルチュル」と聞こえ、1,500~2,300Hzが中心で4.000Hzまで音が伸びています。いかにも、小鳥の声の音域となり、生物由来をうたぐってしまいました。
 ところで、今回のフィールドに行くに当たってS木♂さんから「発情したネコの声と高圧線のノイズがありますので、注意してください」と言われたのを思い出しました。ネコの声が問題なのは、オオコノハズクの雌がネコのような声で鳴くからです。高圧線のノイズは、「ブーン」とか「ジーン」とか聞こえる音だと勝手に思っていたのですが、こんな音になるとは思ってもみませんでした。どうりで、一晩中聞こえ、昼間も聞こえたわけです。
 以前、シマフクロウの声を録ったときも「チリチリ」という音が聞こえ、雪が溶ける音かと思ったら高圧線が鳴る音でした。この時は雪がちらつき、今回は雨上がりで同じく湿度は高めで、湿度が関係ありそうです。工学系の知識がないのでわかりませんが、検索するとコロナ放電の音とか。
 おそらく、昼間なら騒音に紛れてしまうことでしょう。夜でも、短い時間ならば聞き逃すか、聞きつけたら小鳥と思ってしまうかもしれません。これからは、鳥の声に似たノイズ集、あるいはノイズ図鑑が必要となりますね。

2017年4月16日 (日)

銃声・その2-日光

 昨日、アップした日光で録音した銃声の続編です。音は、その1にアップしてありますのでお聞きください。アップしてあるのは、3発目の音です。
 1~3発を比べてみますと、この3発目の銃声が大きく間が開いていることがわかりました。波形にするとするとよくわかります。モノラルに変換して表示します。

2017_04_16_17_34_24_409

 1発目と2発目が-21db、3発目は-15dbです。1発目と2発目も多少の違いがありますが、3発目は大きく異なります。ということは3発目を撃った射手は、より近くで撃ったことになります。
 声紋で比べようと思ったのですが、あまりにも遠いために声紋のパターンが不明瞭となり、わかりにくいのでやめました。ただ、「ズドン」という音の感じから散弾銃ではないかと思いました。ライフルですと「パン」と少し乾いた音に聞こえるはずです。なお、シカ撃ちの場合、パチンコ玉のような大きな玉が8個くらいシェルに入っているゼロゼロバックを使います。
 さらに、波形を比べてみると1発目と2発目、そして3発目が異なることがわかります。
 1発目です。

2017_04_16_17_34_45_698

 3発目です。
2017_04_16_17_35_04_563_2

 1発目と2発目は、最初の山の後にもう一つ短い山があります。これは木霊だと思いますが、3発目には短い木霊でなく長い木霊になっています。ようするに、3発目の射手は、1発目と2発目の射手とは木霊の発生の仕方が違う場所にいて撃ったことになります。ということは、かなり離れていたと考えることができます。
 1発目と2発目が1分15秒なのに対し、3発目は2分17秒後です。もし、シカが斜面とジグザグに森の中を2分強走ったら、どのくらいの距離を移動できるかわかりませんが、仮に25km/hで走ったとしたら銃声の間の2分強で1kmくらいは移動できそうです。そこで、待ち構えていた射手が3発目を撃ったとすると、km単位距離が異なるために音が大きくなり木霊も異なる理由を説明できるのではと思います。
 シカ撃ちの場合、仕留めたら80kgもある獲物を担ぎ上げなくてはならない場合もあります。そのため、数人のチームで狩るのが普通です。まして有害鳥獣駆除事業、手当も出ているはずですから1人のはずはありません。少なくとも2人が、関わっていると思います。
 たった、これだけの音の情報から勝手に推理するのも楽しいですね。

より以前の記事一覧

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