考証

2017年1月13日 (金)

野鳥の声とmp3

 現在、取りかかっている『Miniこのは-声から鳥がわかる本(仮題)』の音源は、mp3で納品です。現在、欧米で多くの鳥の鳴き声のCDやアプリが発売されていますが、収録されている多くの音源がmp3となっています。この機会に、野鳥の声とmp3ついて考えてみました。
 mp3は、音源ファイルの形式の一つです。圧縮されていますので、waveの10分の1以下の容量になります。たとえば、音楽CD10数枚がCD1枚に収まることになります。これは、高音域をカットしていること、言葉が適切かどうかわかりませんが、必要のない音をはしょっているからです。人の聴力は、耳から聞き情報を脳で処理します。そのため、情報が失われていても補ってくれます。ある意味、それを利用してのはしょりです。ですから、10分の1以下の情報量でも大丈夫というわけです。また、音楽CDはトラック数に限りがあり最大で99までです。しかし、mp3の場合、データとして収録されますので無制限です。
 もちろんデメリットもあって、基本コンピュータがないと聞くことができません。あとは、どうしても音質の劣化はさけることはできません。以前、CDそのままとmp3に変換した同じ音楽を聞き比べてみたことがあります。イヤーフォン程度だと違いはわかりませんが、大きなスピーカーで聞くと違いがわかります。音の厚みや奥行きが、薄く浅く感じました。
 mp3の音源を声紋表示させると、10,000Hzから上がなくなっています。CDでは22,000Hzまでありますから、およそ半分がカットされています。ですから、もっとも高音のヤブサメの8,000Hzのさえずりは、mp3に変換しても聞くことができます。
 mp3に変換すると、音がある部分の上の音がなくなります。音があるのだから、その上の音がある必要がないためでしょうか。あとは、全体にところどころ音がなくなっていて、全体に荒い感じの声紋となります。そのため、薄すさや浅さを感じるのでしょう。ただ、低音はそのままで、たとえば100Hzのヤマドリの歩母衣打ちは、ほぼそのまま残っています。
 では、どれだけ変化するか、見てみましょう。まず、ミソサザイのさえずりのwave音源を声紋表示してみます。
Wren1701131

 同じ音源をmp3に変換して声紋表示です。

Wren1701132

 わかりやすいようにモノラル表示しています。10,000Hz以上がなくなり、ところどころ音がはしょられていることがわかると思います。ただ、聞いてみるとミソサザイのさえずりであることはわかり、waveと大きな違いはありません。
 先日のミヤマホオジロの地鳴きでは、音がものすごく変質してしまいましたので、アップするのをあきらめました。参考のために、mp3に変換した音源をアップします。こんな感じになってしまいました。


 
 これを声紋表示すると、すかすかになっていることがわかります。
Yellowthroated_bunting1701131

 どうも、高さに幅のある音は、すかすかになりやすいようです。野鳥の声の特徴のひとつが、音に幅があることです。ミソサザイやカヤクグリは、一つの音が5,000Hz以上の幅を持って鳴いています。3,000Hz程度ならば、ホオジロ類など多くの鳥のさえずりで鳴いています。楽器では、ここまで幅ある音を出せないと思いますし、こうした音が影響を受けやすいようで注意が必要です。
 また、鳥の声のあるところとバックグランドの音だけのところで、途切れたようになります。音楽であれば流れるように音が続くので、こういった長い間があることは少ないので影響は少ないと思いますが、鳥の声では気になります。
 実は、mp3と一口にいっても、いろいろな段階、ビットレートに違いがあります。Audition 3.0の場合、「mp3で保存」でオプションのアイコンを開けると「128Kbps,48000Hz,ステレオ」が表示され、これがデフォルトです。そのため、今までこのビットレートで保存をしていました。この結果、おおむねデータ量が20分の1になっていました。
 Audition 3.0では、最低で「20Kbps,11025Hz,ステレオ」、最高で「320Kbps,48000Hz,ステレオ」まで47段階あり、それぞれモノラル変換もできます。結果、約100パターンあることになります。ちなみに、デフォルトの「128Kbps,48000Hz,ステレオ」は上位3分の1くらいのステータスとなります。ですから、さらにビットレートを上げてやれば、音の損失が減るはずです。その代わり、どれだけ容量が増えてしまうのか、試してみました。
 ということで、前掲のミヤマホオジロの地鳴きを上の「192Kbps,48000Hz」に変換してみました。



 音は、すかすか感がなくなり、ちゃんと聞くことができます。

Yellowthroated_bunting1701132

 声紋表示させても、音の欠損が少ないことがわかります。
 しかし、どれだけ容量が増えているでしょうか。元のwaveで、8,000バイトです。「128Kbps,48000Hz,ステレオ」で、335バイトとなり約20分の1以下です。そして「192Kbps,48000Hz」だと500バイト、16分の1となりました。たしかに、圧縮率を下げることで、高音が残り聞きやすくなりますが、容量は多くなりました。それでも、waveに比べれば、かなり小容量となっています。
 現在、BBSやブログにアップできる容量は500KBが上限であることが多いと思います。ですから、waveで20秒程度に編集し、mp3「192Kbps,48000Hz,ステレオ」に変換すれば、音質の損傷を少なくしてアップできることができます。あるいは、モノラルにして40秒まで可能となります。
 どうもmp3は、音楽のためのもので、低音は残し高音はなくす仕組みのようです。そのため、高音や音の幅のある野鳥の声は、変質してしまうことが多いことになります。また、ビットレートを上げれば、変質は軽減されることもわかりました。
 Webサイトへのアップは、mp3がほとんどです。そのため、野鳥の鳴き声をより自然に聞いてもらうことができるよう参考になれば幸いです。 

2016年11月27日 (日)

亜種ウソと亜種アカウソの鳴き声は違うか?

 録音仲間では、亜種ウソと亜種アカウソに違いがあるかが課題です。ウソのさえずりを聞くことは少なく、違いは存在を確認する声によるものです。「フィ、フィ」と聞こえる柔らな声のことです。
 近くの公園で、ここ1週間ばかりウソが滞在してくれています。最初、雌1羽だったのですが、このところ数羽の群れとなり公園のあちこちで会っています。同じ群れが、移動をしているのだと思いますが、うれしい長期滞在です。
 写真を撮りながら見ていたら、胸がほんのり赤く見えて亜種アカウソでした。

Bullfinch161127


  胸の赤みは、日が当たると飛んでしまいわかりにくくなります。近くにいた雌の尾羽を確認すると、羽軸の白が見えましたので間違いないでしょう。幸いなことに鳴いてくれました。
 PCM-D100で録音。ボリュームのアップ、3.000Hz以下のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。



 これで、違いがわかるでしょうか。
 だいたい冬に公園で会えるのは亜種アカウソのほうが多い傾向にあります。春から夏の繁殖期に日光で会えるのは亜種ウソです。出会うのが、越冬期と繁殖期の違いがあるのですから、鳴き方も違うかもしれませんね。鳴き方の違いを検討するのは、季節を合わせないといけないと思いました。でも、こうやって聞くかぎり声の違いはわかりませんでした。
 

2016年11月24日 (木)

謎の声は、ツツドリ

  当ブログで今年の5月、「なんだべ?-謎の声の正体は?」という記事を掲載しました。
 http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2016/05/post-ee30.html
 これは、日本野鳥の会山形支部のY川さんが山形県飛島で小犬が鳴くような謎の声を録音し、それが私がオオコノハズクと思っていた三宅島の録音と一致、でもオオコノハズクがこのような声で鳴いた記録はないので「なんだべ?」と言う記事です。
 鳴き声は、こちらです。



 インターネットというのはありがたいもので、この記事の掲載のあとすぐに新潟県の方から、夜にこの声で鳴きながら飛んで行くのを聞いたという報告、しばらくして福岡県の方からも同様の報告をいただきました。実は、コンピュータが壊れて5年分のメールが霧散してしまいましたので、このお二方の報告は記憶で書いています。さらにその後、新潟県のF川さんから、ツツドリがこの声で鳴いていたのを見たことがあるとの報告をいただきました。
 今回、大阪自然史フェスティバルの講演にて謎の声として紹介したところ、O西さんとそのお仲間から「舳倉島で、ツツドリが同じ声で鳴いていた。」との情報をいただきました。くわえて、M井さんから四国でホトトギスの仲間赤色型がこの声で鳴いているのを録画したと報告をいただきました。画像を見ると大きさからツツドリであると判断できます。なんとも、実り多い大阪自然史フェスティバルでした。これだけ目撃例がそろえば、謎の声はツツドリと言ってもよろしいかと思います。
 私の三宅島の録音を除いて、ほとんどが日本海側で西日本から新潟県あたりの記録となります。ただ、いずれもその後、聞くことはないので通過していったものと思われます。
 私のフィールドの栃木県日光には、ツツドリがたくさんいます。しかし、この声で鳴いているのを聞いたことはありません。北海道でもツツドリの録音がありますが、同じく聞いたことはありません。全国の録音仲間からも情報はありません。どうも、この鳴き方をするツツドリは、日本を通過するだけでのようです。
 ツツドリの分布は、ユーラシア大陸のヨーロッパ東部から日本までと中国南部から台湾までの南北2つに分かれています。そのため、この2つを亜種か別種か2説あります。xeno-cantoにアップされているフィンランドからロシア、日本のツツドリを聞く限り、大きな違いはなく、小犬のような鳴き方をしているものはありませんでした。
 ちなみに、図鑑によっては北のものは2音、南のものは4音で鳴くと書かれているものがありますが、xeno-cantoにアップされている中国、台湾のツツドリも2音で鳴いています。そのため、小犬鳴きをするツツドリが亜種ということもなさそうです。さらに、目撃例からノーマルタイプと赤色型どちらも行うようで、その違いもなさそうです。
 いずれにしても、鳥というのはいろいろな鳴き方をするもので、固定観念で思い込みは禁物と改めて思い知らされました。
 この謎の解明も、皆さまのご協力のおかげです。ありがとうございました。

2016年5月19日 (木)

小型哺乳類の声か-戦場ヶ原

 先週末には、日光戦場ヶ原に5台の録音機でタイマー録音を仕掛けました。おかげで延々とデータのチェックをしています。
 その内の1台、Panasonic SX455に不思議な声が入っていました。タイマーは午前3時から6時までの3時間です。音源はボリュームのアップ、300Hz以下の低音の軽減、ノイズリダクションをかけています。



 この声は、午前3時9分から1分40秒にわたって鳴いていました。それを30秒に間を詰めて編集しています。まだ、暗い時間です。タイマーが始まってからすぐですから、この前にも鳴いていたかもしれません。なお、この前後でオオジシギがよく鳴いています。ノビタキやアカハラといった小鳥たちが鳴き始めるのは午前4時前後、50分後です。
 場所は、ワタスゲテラスと言われている場所の近く。戦場ヶ原の東側です。録音機は、シラカバの木の根元に置き、湿原側にむけています。西に数10m離れたところにもう1台置いておきましたが、こちらにもかすかに入っていました。ですから、より赤沼側で鳴いていることになります。
 声は、小型の哺乳類に聞こえます。2匹が鳴き合っているようにも聞こえます。戦場ヶ原では、テンの糞や足跡を良く見ます。この他、キツネ、タヌキ、アナグマがいることでしょう。大型では、シカとツキノワグマがいて、ツキノワグマは先日、目撃されているそうです。これらのいずれかと思いますが、わかりません。哺乳類の声は、飼育や捕獲されたものがYouTubeにアップされていると、解るのですが、なかなか合致するものないのが悩みです。
 いずれにしても、まだ暗い戦場ヶ原に響く鳴き声、生で聞いてみたかった。

2016年5月 9日 (月)

なんだべ?-謎の声の正体は?

 録音仲間のY川さんのブログを見たら、謎の声がアップされていました。ブログ名は『バード・コンシェルジュとびしまんちゅの「鳥いだがぁ?」どーもっす(^o^)。イケてないバード・コンシェルジュとびしまんちゅの鳥見録。』長い!それに山形弁です。しまんちゅとは飛島です。下記URLでブログに行って「なんだべ? 4/24」に行き、まずは謎の声をお聞きください。
   http://tobishimantyu87.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/424-287b.html
 実は、この鳴き声は三宅島のオオコノハズクとされている声なのです。三宅島のオオコノハズクは、現状では亜種のリュウキュウオオコノハズクとなっています。しかし、かつて記載されたシマオオコノハズク、あるいはハチジョウオオコノハズクと言われた亜種ではないかと思い、拙ブログで「オオコノハズクの課題」と題し、記事にしています。下記URLです。
    http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2011/03/post-d519.html
 念のために、この時の鳴き声をアップしておきます。



 いかがでしょうか。私には、同じ声に聞こえます。  バード・コンシェルジュのY川さんは、ガイドで全国を飛びまわっていますので、三宅島に行っての録音と思っていました。確認のためにメールをしますと、飛島での録音とのことの返事をいただきました。Y川さんも、消去法でフクロウ類だったらオオコノハズクではと思っていたそうです。
 今のところ、本州のオオコノハズクがこれに似た声で鳴いた記録はありません。オオコノハズクは記録の少ない鳥なので鳴き声のサンプルも少なく、この声では鳴かないと言い切れません。しかし、過去の飼育記録も含めて、このような鳴き方はしていませんので、オオコノハズクの可能性は少ないでしょう。また、伊豆諸島の亜種だとして、太平洋側から日本海側の離島に移動する可能性も低いとなると、別の鳥なのでしょうか。
 私自身、三宅島で聞いた時の情報を述べておきます。まだ、暗い夜明け前にさかんに鳴きました。また、昼間も少し鳴きました。場所は、大路池の森のなかで、木の上の方から声は聞こえてきました。小鳥ではなく中型の鳥の出す声量という印象でした。ですから、オオコノハズク説は、納得できたのです。しかし、今回飛島で記録されたことで、根底から覆された感じです。
 全国の皆さんへのお願いです。もし、この声が聞こえたら姿を確認する努力をしていただければと思います。

2015年9月27日 (日)

モズの雌の声-芝川第一調節池

 どちらかというとモズは、野鳥録音では難題の鳥です。急に鳴き出すので、録音の準備が間に合わず、いつも途中からになってしまいます。フルコーラスを録るのが難しいのです。加えて、開けたところに居るので人工的なノイズがどうしても入ります。さらに警戒心がとても強いので、近くで録れないという3重苦の鳥なのです。
 この間、埼玉県川口市にある芝川第一調節池に行ったところ、モズがよく鳴いていました。これならば、録れると思ったのですが、なかなか思うようには録れませんでした。録れないながら思ったのは「モズは雌も鳴くと言われていますが、雄と雌で鳴き声に違いがあるか」です。
 モズは、秋から冬になわばりを持ち、そのためによく鳴きます。これを高鳴きというのですが、雌雄別々になわばりを構えるために、雌雄とも鳴くと言われています。過去に録音した音源をチェックしてみましたが、モズのファイル名はあるものの雌雄を区別して録音をしていませんでした。考えてみれば、モズを警戒させないために録音中は見ないようにしているために雌雄まで区別していないのです。
 とうことで本日、芝川で鳴いている雌雄の確認をすることにしました。見られたモズは5羽、このうち1羽が雌でした。雌雄の比率がかたよっているのは、普通なのでしょうか。
 そして、これが雌としっかりと確認して録音した声です。PCM-D100で録音、1,500Hz以下のノイズを軽減、300Hz以下のノイズをカット、軽くノイズリダクションをかけています。



 力強く溌剌と鳴いています。鳴き方と節に、雄と違いあるように思えません。ただ、これ1例だけですから、なんとも言えません。これからできる限りサンプルを集めて違いがあるのか、あるいは同じなのか調べられたらと思っています。

2015年9月25日 (金)

ユリカモメの幼鳥の声

 昨日は、日本野鳥の会の理事会でした。今年度は今のところ順調で、まずは安心。この調子で年度後半も進行してくれればと思います。
 理事会のついでに、安西英明さんから依頼を受けていた野鳥の音源を届けました。懇親会で安西さんから「ユリカモメの幼鳥の声が欲しい。もらった音源に少し入っていた。」との指摘を受けました。ユリカモメの成鳥と幼鳥によって声に違いがあるとは、思ってもみませんでした。さすがにバードウォッチャーの最高峰、安西さんです。
 ということで本日、音源をチェックしてみました。音源は2月、上野不忍池で給餌に集まるユリカモメの声です。ほとんどが「ギャーッ」や「バャー」と聞こえる基音が2,000~2,500Hzにある声で成鳥とのことです。このなかに「キュウ」あるいは「キュ」と聞こえる声が幼鳥だそうで、基音が4,000~4,500Hzにあり成鳥の声に比較して高く短い声でした。
 世界の鳥の声が集められているXeno-cantoで確認すると、ロシアで録音された幼鳥の声と一致しています。
 ユリカモメの幼鳥、こんな声です。PCM-D1で録音。約6分の音源の中から幼鳥の声のみを抽出。3,000Hz以下の低音を軽減。ノイズリダクションをかけています。



 これから、ユリカモメが渡って来るので、成鳥と幼鳥の声の違いを改めて確認したいと思います。また、ユリカモメにおいて、これだけ違うのですから他のカモメ類も気になります。オオセグロカモメとセグロカモメの1年生の幼鳥を姿から区別するのは、よほど条件が良くないかぎり私にはできません。まず幼鳥特有の声があるのか、そしてオオセグロカモメとセグロカモメで違いがあれば、野外識別のヒントなると思います。今年の冬の課題ができました。
 安西さん、ありがとうございました。  

2015年9月22日 (火)

日本産ジョウビタキのさえずり

 今年もあっという間に、野鳥のベストシーズンが過ぎていきました。また、来年のお楽しみです。今年は、体調もあってサボり気味、成果の少ない年でしたが、Oさんのおかげで録れたジョウビタキのさえずりが、唯一のなぐさめです。録音のシーズンの終わった今、じっくりと聞き直して気がついたことがあります。
 それは、大陸で録音されたものと日本で録音されたジョウビタキのさえずりに微妙な違いあるのです。
 世界の鳥の声が集められているXeno-cantoには、ジョウビタキのさえずりは、中国、ロシア、韓国のものがアップされています。下記のURLで聞くことができます。
  http://www.xeno-canto.org/explore?query=Daurian+Redstart&pg=1
 また、市販のCDでは蒲谷鶴彦先生がロシアのバイカル湖畔で録音した音源が『日本野鳥大鑑鳴き声420増補版』(2001)に収録されています。
 これらに共通しているのは、短く同じ高さ4,000Hz前後の音を数声続けて、その後に激しい抑揚のある節を早口で一気に鳴きます。間をあけて節に多少の変化を付けながら鳴き続けます。ホオジロより早口で、アオジより単純な節なのですが、これらホオジロ類との違いは、前に付ける短い同じ高さの音です。この声は「ビッ」と聞こえ、このような節を付ける鳴き方をする鳥はいないので、ジョウビタキのさえずりの特徴と言って良いでしょう。
 ところで、日本産のジョウビタキのさえずりは、私が栃木県で録音したものの他、バードリサーチのサイト内にある鳴き声図鑑に、長野県と兵庫県で録音されたさえずりがアップされています。下記URLで聞くことができます。
 http://www.bird-research.jp/1_shiryo/nakigoe.html
 これらの声も、大陸で録音されたものと同じように、前に「ビー」があるのですが、大陸で録音されたものに比べて長いのです。ですから、「ビー」がだんだん強くなって「ビーッ」と聞こえると言ったら良いでしょうか。
 比較のために、私が録音した栃木県のものと、カミさんが韓国で録音したものの声紋をアップします。いずれも、左右は4秒、天地は10,000Hzです。表示は3D、山が高いほど音が強いことを表しています。
Daurian_redstartsona2
栃木産です。この音源は次のとおり。


Daurian_redstartsona1
韓国産です。この音源は次のとおり。


 韓国産のものは前の「ビー」は0.3秒で4音程度、栃木県産は0.7秒で明瞭な部分は20音ありました。時間で倍以上、音では5倍以上あります。現状すべての音源をチェックしたわけではありませんが、日本産の長野県、兵庫県、栃木県のものは、複雑な節の割には差を感じられないほどよく似ています。起源が同じで、まだ違いがでていない可能性があります。
 もし、大陸のどこか。たとえば、Xeno-cantoには収録されていないロシア極東の個体群であるとか、わかると面白いですね。あるいは、ひっそりと日本で代を重ねて、大陸との違いになったのか、などなどいろいろ想像してしまいます。
 いずれにしても、現状のサンプル数では確定的なことは言えません。これからジョウビタキの繁殖が各地で発見され、さえずりが録音されれば新しい発見につながるかもしれませんね。

2015年8月29日 (土)

謎の声、解明

 長い間、録音していると澱のように不明の声が溜まってきます。聞き慣れない声がすると、まずは録音します。しかし、録音している間は音を立てないようにじっとしてます。双眼鏡で姿を探すことができません。結果、鳴きやんでから姿を探しても、見つけられず不明となってしまうケースが多いのです。さらに、タイマー録音や長時間録音では、なおさらです。  ただ、自分自身と知識や録音仲間の情報から、懸案の不明の声が解明することもあります。そのため、ときどき昔録音した音源を聞いては検証しています。今日は、天気が悪いので、この作業をしていました。
 今回、解明できたのは栃木県日光市滝尾で録音した声です。当時は、DATでの録音ですので、タイムコードが入っています。13年前の2002年8月5日の午前11時46分となっています。日光とはいえ、8月5日の昼頃ならば暑いさかりとなります。環境は、スギの古木が生い茂る古い神社があるあたりです。この日は、この声しか録音していません。小鳥のさえずりの最盛期が過ぎて、録るものを探して遭遇したという感じでしょう。
 ソニーのDAT録音機PCM-M1にオーディオテクニカのマイクAT825Nを接続しての録音。ボリュームのアップ、1,000Hz以下の低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。また、声と声の間を詰めています。



 フクロウの幼鳥の声でよろしいかと思います。
 『野鳥大鑑鳴き声420』に蒲谷鶴彦先生が録音されたフクロウの幼鳥の声が収録されています。また、先生も最初は謎の声として録音し、その後に飼育されている幼鳥の声を聞いて懸案の謎の声が解明されたというエピソードも紹介されています。
 先生の音源は、同じ声を同じ調子で繰り返しています。私の録音では、音の強弱とテンポ、さらに調子が多少変化している違いがあります。ただ、音域や倍音の出方はよく似ています。成長具合や状況による違いかと思われます。
 昼間のために、夜の鳥を思い浮かべることができなかったことになります。思い込みが、識別の判断を誤ってしまい反省しています。 

2015年8月12日 (水)

クマゼミ-六義園

 今朝、六義園からクマゼミの声が聞こえてきました。昨日も聞こえたのですが、録音をしようと思ったら鳴きやんでしまいました。今日は、録音することができました。PCM-D100で録音。6,000Hz以下の低音を軽減、ボリュームを少しアップしています。



 六義園でクマゼミが聞こえるのは、年に数回あるかないかです。去年は、なかったと思います。今日は、塀のまわりの散歩でも聞こえましたので、今年はすでに2ヶ所で鳴いています。
 矢島稔先生によると、クマゼミは「関西のクマゼミ好きの人が東京でも聞きたいと思って運んできた」とのこと。また、クマゼミの震源地は代々木公園や明治神宮ですので、日本中から献木されたときに土に入っていたなどの説があります。
 ただ、江戸時代の岩崎常正著による『武江産物誌』(1824 年・文政7 年)には「馬蜩」の名前があります。これには、「志ね志ね」のルビがふってあります。他のセミの名前のルビは鳴き声なので、馬蜩が「志ね志ね」と鳴くセミであることがわかり、クマゼミの声に聞こえます。「しね」から発想する悪い語感を「志ね」という良い意味の漢字を当て縁起担ぐ当時の心情が伝わってきます。また、他のセミには地名が書いておらず、どこにでもいたのではと思われますが、馬蜩は「本所」と地名が書かれています。このことから、多いセミではなく、もしかしたら本所にお屋敷を構える西日本の大名が故郷の夏を懐かしんで持ち込んだものが居着いたのかもしれません。
 関連情報で、「谷中の自然を見る 本草学者・岩崎灌園の世界」が開催されています。灌園は常正の号。資料が多いとは思えないので小規模な展示かと思いますが、会期中に訪れてみたいと思っています。
  https://www.city.taito.lg.jp/index/event/shogaigakushu/kyoudokikakuten.html

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