考証

2017年7月 3日 (月)

不明のムシクイ類の鳴き声-六義園

 アップしようがどうか悩みましたが、参考のために記事にしました。
 5月の中旬、夏鳥の立ち寄りがさかんな六義園で、記録された鳥が謎です。
 見つけたのは常連さんたちで、私が合流したときも鳴いていると教わりましたが、私には聞こえない高い声でした。そのため、録音機にイヤーフォンと付けて聞くと、聞いたことのないが聞こえ慌てて録音しました。
 PCM-D100で録音。ボリュームのアップ、3,000Hz以下のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。




 mp3ファイルに変換したため音が変質していますので、ご了承ください。5声目と6声目の間に「ビッ」という声が聞こえますが、最初はこの「ビッ、ビッ」とよく鳴いていたそうです。ですから、「あの『ビッ、ビッ』鳴く鳥はなあに?」というのが、常連さんたちの質問でした。
 カメラを持っている人もいたので撮影もされましたが、葉陰にいてしっかりと撮影できた人はいませんでした。ただ、ムシクイ類とわかる程度の画像は得られており、見た人も「ムシクイのように見えた」とのことでした。
 そのためコムシクイとあたりを付けて、いろいろ音源を聞いてみました。xeno-cantoには、学名:Phylloscopus borealis、英名:Arctic Warblerの音源は山ほどアップされています。このサイトの分類では、ユーラシア大陸の西から東、そしてアメリカ大陸のアラスカまで広く分布している種ということになっています。そのために、フィンランド、ロシア、モンゴル、アメリカなど各地で録音された音源が並んでいます。
 ひととおり聞いてみたのですが、そのバリエーションの多さには驚きました。かなりメボソムシクイに近い「ジュリジュリ」系もありました。これだけ、分布が広いのですからいろいろな鳴き方があっても仕方ないです。ただし今回、六義園で録音されたものと同じように聞こえる音源を見つけることはできませんでした。
 なお、最大公約数としては「ビッ、ビッ」を交えること、3,000~6,000Hzに基音があること、声紋が”ん”あるいは筆記体の”h”のようなパターンに見えることなどがあります。
 今回のものは、3,800~4,800Hzと範囲には入ります。パターンはどちらかというと、筆記体の”n”ですが似ています。また、前述のように「ビッ、ビッ」はありました。
 コムシクイの記録は、旧称のコメボソムシクイ、そしてオオムシクイとの混乱があるのでなかなか検索しきれません。確かなところでは、福岡県福津市、長崎県対馬や日本海側の離島程度、太平洋側の記録は見つけられませんでした。少なくとも最新の東京都の鳥類目録には載っていません。サイト上の目黒区の野鳥リストに入っていましたが、どうもオオムシクイのようです。
 となると、確定するのには慎重にならざるを得ません。現状では、可能性の一つとしてコムシクイの名前をあげておきます。今後、鳴き声による新知見により確定できるか、あるいは訂正するかもしれませんという前提でのご呈示です。

2017年6月29日 (木)

テンの声か?-日光

 梅雨空が続くので、音源の整理をしています。
 ふと思い立ったのは、どこかにテンの声が入っていないかと思って探してみました。
 日光では、テンとの遭遇が多いです。だいたい、戦場ヶ原の木道の上には、かならずといって良いほどテンの糞があります。同様にキスゲ平の階段や遊歩道にもあります。小倉山の頂上付近の山道を歩いていた時、向こうからネコが歩いてくると思ったらテンでした。私に気がついて長い尾を翻し森のなかに消えていきました。大笹牧場の牧柵の上を歩いていたこともあります。夜明け前の暗い霧降道路を走っていると、ヘッドライトを受けたテンの目がピンポン玉が弾むように見えたことがあります。これだけいるのですから、どこかにテンの声が録音されているのではと思いました。
 まず、Youtubeで「テン 鳴き声」などで検索して、どんな声で鳴くか調べてみました。だいたいギャー系の鳴き声でした。とくに捕獲されてたものはよく鳴いていますし、比較する音源としては間違いありません。
 これらを頭に入れて、長時間録音のなかから、謎や不明とファイル名の付いた音源を聞いてみました。それらしい鳴き声がありました。
 YAMAHA W24でタイマー録音。2012年8月10日午前4時19分頃。ボリュームのアップをしています。



 いかがでしょうか。ネット上にあるテンの声に似ています。この前後には歩くような音も入っていますが、鳴き声はこれだけでした。少なくとも、フクロウの雌とも違いケモノ的な声だとは思います。
 哺乳類の鳴き声は、参照となる音源がなかなかないのが悩みです。こうして、アップしていくことで、ご意見などいただければと思います。
   

2017年6月26日 (月)

「ヒバリの高鳴き」って、あり?

 ネットで鳴き声についていろいろ調べていたら「ヒバリの高鳴き」という言葉が出てきました。かなり違和感をおぼえましたので、調べてみました。
 たとえば、ペット系のサイトに「(ヒバリの)オスは、春になると自分の縄張りを構えて縄張り宣言をします。これは『ヒバリの高鳴き』という仕草で、空中を高く舞い上がりホバリングしながら鳴き続けます。」とあります。”行動”というところを”仕草”、なわばりを巡回するので”ホバリング”はしてないでしょと突っ込みどころはあります。しかし、検索すると同じ言葉がバードウォッチャーや野鳥カメラマンらしい個人のサイトでも使われ、いくつも上がってきます。
 いろいろ検索方法を変えてみると、もっとも古いものが2004年のサイトで、それ以前の書き込みでは見つけることができませんでした。最近になって使われるようになった言葉なのでしょうか。
 違和感をおぼえたのは、高鳴きとはモズが秋に山から下りてきて平地でなわばりを構えるために鳴く声のことだと、ずっと思っていたからです。高い所にとまって鳴く、あるいは高い声で鳴くから高鳴きと思っていました。ですから、モズに対してのみに使う言葉として、今まで認識していました。
 そのため、ちょっと調べてみました。江戸時代の文書を集めた『古事類苑』(神宮司庁・1896-1914)のモズの項には、高鳴きという言葉はありませんでした。同様にヒバリの項にもなく、高鳴きそのものも言葉として収録されていませんでした。
 また、鳥の文化的な資料を羅列してある『鳥』(亀井紫雲、内田清之助・1929)のモズはもちろん、ヒバリの項にも高鳴きという言葉を使っての解説はありませんでした。てっきり野鳥についての俳句の季語を集めた『野鳥歳時記』(山谷春潮・1943)を見れば、秋の季語として載っているかと思ったのですが、モズ、ヒバリともありません。このあたりの本をざっくり調べていて、思い当たったのが川口孫二郎の『自然暦』(1943)です。やはり、「モズの高鳴き七十五日」がありました。信濃のことわざで、モズが高鳴きをしておよそ2ヶ月半後に霜が降りるという意味です。これ以降、このことわざの引用とともに高鳴きが流布した可能性があります。
 ということは、信濃の人たちはモズの高鳴きという言葉を大昔から使っていたが、野鳥関係で使われるようになったのは1943年以降、実質的に戦後であった可能性があります。ちなみに、『自然暦』に「ヒバリ高く上がれば晴天」はあるものの高鳴きはありません。
 すべての鳥関係の本を調べたわけではありませんので、ひょっとしたら他にもあるかもしれませんが、今のところヒバリの高鳴きは見つけることはできませんでした。
 高鳴きは、専門用語して定義されている言葉ではありまんので、混乱を招くこととなります。”笹鳴き”をウグイスのみに使用するのと同じで「藪のなかでミソサザイが笹鳴きをしていた」と言われると、違和感を覚えると同じです。
 私としては、やはり高鳴きはモズのみにか使いませんね。

2017年6月20日 (火)

サンショウクイの幼鳥の声-地鳴き問題

 サンショウクイは、山椒の実を食べ辛くて「ヒリリンヒリリン」と鳴くので山椒食い、この鳴き声は、求愛と縄張り宣言の意味を持つ”さえずり”とされています。以前、エナガとケンカをしているサンショウクイが同じような鳴き方をしていたので、ほんとうにさえずりで良いのか疑問に思っていました。また以前、拙ブログにさえずりとして記事を書いたところ、越冬地の東南アジアでも同じ鳴き方をしていたという報告をもらいました。サンショウクイの地鳴きは、録音はもちろん聞いたことがないので、この鳥のさえずりと地鳴きの違いが気になっていました。
 先週、南信州在住のM松さんから、名前のわからない瀕死の雛を拾ったと相談を受けました。M松さんは、最初のバードカービングの入門書「バードカービング入門」(朝日ソノラマ・1980)に載っているツバメの作者で、当時は学生。ツバメの細くて長い尾を創り、木で羽毛を表現ができると確証する作品を作ってくれました。今は自然豊かな環境の地に根を下ろし、地元ではその風貌から監督の愛称で親しまれています。言っておきますが、現場監督ではなく映画監督です。
 ところで、瀕死の雛は写真を見るとサンショウクイでした。「クルマのボンネットにベッタリと張り付いていました。死んでいるものとばかり思い取り除こうとするとかすかに震えているので、とりあえず緊急保護して保温してみたところ元気を取り戻しました。」とのこと。誘拐か保護か微妙な状態ですが、夕方で放鳥しても親と遭遇する可能性は低いと判断、また青虫を与えたら食べたとのことでしたので、取りあえず一晩様子を見てもらうことにしました。
 ということで、鳴き声を録音してもらいました。なんとM松家には、子どもの音楽会を録音するために奥さんが購入したオリンパスの最新機種LS-P2があるというではないですか。それも一回も使用していなのですから、サンショウクイが録り下ろし。さっそく餌をねだる声を録音してもらいました。M松さんのご了解を得て、下記にアップいたします。
 オリンパスLS-P2で録音。1,000Hz以下のノイズを軽減、ボリュームの調整をしているだけです。



 なんと幼鳥もさえずりとあまり変わらない鳴き声です。幼鳥がさえずるとは思えず、サンショウクイは、さえずりと地鳴きの鳴き方にあまり違いがない鳥と言えます。
 以下は推測ですが、餌ねだりも求愛、縄張り宣言の意味で共通しているのは”自己主張”です。この自己主張の強弱、テンポなどで彼ら自身、鳴き分け聞き分けているのではないでしょうか。
 出会いの少ない鳥だけに、なかなかサンプルを集めることができませんが、今後野鳥録音が普及すれば、いろいろ解明できる可能性を秘めている鳥でもあります。
 ところで、放鳥をしようと外に出したところ、餌をねだって付いてくるほどなついてしまったとのこと。それならば、部屋のなかで追い回しリハビリをするなど、放鳥計画を立てていました。しかし、残念なことにM松家で10日生きながらえたサンショウクイの幼鳥は、娘さんの見ている前で息絶えてしまったそうです。野生動物は難しいですね。M松家には、いろいろ思い出を残してくれたことと思います。
 サンショウクイの幼鳥の冥福を祈ります。
 M松さん、いろいろありがとうございました。

追記:「サンショウクイ 地鳴き」でネット検索すると、Youtubeに権現山で8月に撮影された動画が投稿されていました。これでは、羽繕いをしながら「ピッ」という声で鳴いているようすが、撮影されており地鳴きとなっています。声紋を採って見ると、1声の「ピッ」に聞こえますが、実際は3~4音の連続で、「ヒリリン」の「ヒ」の部分に相当するパターンを示していました。いつも鳴いている声の断片という感じです。

2017年6月 3日 (土)

伊香保の謎の鳥・考

 謎の声が蒲谷鶴彦先生に送られたのは、2001年6月のことだったと思います。私の手元にある音源ファイルの日付が、2001年6月7日になっています。音源は、カセットテープだったと記憶しています。群馬県の伊香保森林公園で野鳥録音のベテランのM野さんがこの年の2001年、そして翌年の2002年にも収録しました。
 野鳥録音の仲間のTさんが、Birder誌の編集長をしていた2003年5月号の特集「バードリスニング入門」に、コラムネタとして紹介されていたと思います。思いますというのは、バックナンバーを本の山の中から見つけ出せないのでもうしわけございません。
 また、検索すると下記のURLが出てきますが、残念ながら音源へのリンク先にはつながりませんが、大まかの状況が書かれています。

http://www.kimuhiro.sakura.ne.jp/homepagekimuhiroSakura/kimuhiro50/newbird43/newbird842.html

 そのため、記憶と手元の音源から概要を書きます。謎の声は「ポ、ポ、ポー」と3声で柔らかい音質の声です。音は600~900Hzの間にあり、最後が尻上がりに聞こえます。4月下旬から鳴いていたとのこと。私が最初に聞いた印象では、ヤツガシラの声に似ていると思いましたが、姿を見たという人がいて「カッコウの仲間だった」と伝え聞いています。蒲谷先生は、この鳥のために伊香保に一度行っていますが、録音できませんでした。先生は「伊香保の謎の鳥ってなんだろう」と、ときどき気にとめておられました。そのため、先生がお亡くなりになってからも機会があれば解明したいと思っていました。
 今までの事実から、夏鳥、森林性の鳥、「ポポ」系の声で鳴く、そしてカッコウの仲間となるとツツドリが思い浮かびます。ただ、ツツドリのさえずりは2声で、それが3声になるようなバリエーションは、聞いたことがないので懸案となっていました。
 最近、ツツドリの分類に動きがあり、チェックしてみました。かつて、ツツドリはヒマラヤから中国、ロシア、そして日本まで広く分布する学名Cuculus saturatus、英名Oriental Cuckooとされてきました。ただ、マーク・ブラジルさんの”Birds of East Asia”によると、中国、台湾のものを学名Cuculus saturatus、英名Himarayan Cukkoo(Hymarayan Cukkoo)[和名:ヒマラヤツツドリ(暫定)]として、ロシアから日本のものを学名Cuculus optatus、英名Oriental Cukkoo[和名:ツツドリ]に分けています。これは、亜種といわれていたものを別種にしたものです。問い合わせのあった当時もネパールのカセットテープを買ったりして、ヒマラヤツツドリの声を探したのですが、聞くことができませんでした。ヒマラヤやインドの図鑑には、鳴き声が4声とか書かれていたのですが、実際の声を聞かないことには話になりません。
 そうなると、ヒマラヤツツドリの鳴き声が気になります。あれから10数年たって、今では聞くことができます。まずは、”Birds of East Asia”のe-Book 版をお持ちの方は、聞いてみてください。収録されているのは、中国のHunanで録音されたもので「ポ、ポ、ポ、ポ」と4声のパターンで鳴いています。この音質が、伊香保の謎の鳥によく似ていることに気がつきました。
 そのため、xeno-cantoのCuculus saturatusの声を聞いてみました。中国、インド、ネパールで収録された音源がアップされています。
 http://www.xeno-canto.org/explore?query=Cuculus+saturatus
 たしかに4声が多いのですが、5声もあります。ということは、3声もあるかもといったところです。
  ここまで書いたところで、Tさんからコーネル大学のサイトに音源がアップされているとの情報をいただきました。
https://search.macaulaylibrary.org/catalog?date.beginMonth=1&searchField=species&hotspot=&date.beginYear=1900&date.endYear=2017&hotspotCode=&taxonCode=&view=Gallery&regionCode=&action=show&date.yearRange=YALL&date.endMonth=12&onlyUnrated=false&includeUnconfirmed=&behaviors=&sex=&date.monthRange=M1TO12&start=0&count=30&mediaType=Audio%2CPhoto%2CVideo&sort=upload_date_desc&userId=&q=Cuculus+saturatus&species=&region=&user=&age=
 4声が多いのですが、3声もありました。ただ、尻上がりになっていない平坦な鳴き方をしています。この鳥の分布域はバードウォッチングがさかんとも思えず、アップされている件数は多くありませんので、まだバリエーションがある可能性があります。ということで、解明とまでは行きませんが、伊香保の謎の鳥として、ヒマラヤツツドリを可能性のひとつとしてあげておきます。
 じつは、伊香保のM野さんとは、以前メールのやりとりをしていましたが、音信不通となってしまいました。そのため、肝心の謎の鳥の声をアップすることができませんが、これらサイトにアップされている音源を聞いていただき、頭の片隅にでも記憶しておいていただければと思います。鳴き声で発見できる、出るかもしれない種となります。
 ということで、鳴き声から日本産の鳥が1種増えるかもしれないと思うと、わくわくします。

2017年5月31日 (水)

夜行性の鳥って?

 S木♂さんのお誘いで、東京西部に生息するミゾゴイなど夜行性の鳥の調査をお手伝いしています。
 ミゾゴイの研究家・川名国男さんの『ミゾゴイ-その生態と習性』(2012・自費出版)によれば「ミゾゴイは夜行性の鳥ではない。夜に鳴くが雛には昼間、食べ物を持ってくるし活動している」という主旨のことが書かれています。たしかにその通りで、鳴くのは日没から夜明けまでですが、昼間に姿を見ることがあります。林道を車で走っていると前を横切ったり、登山道からふわっと舞い上がったり、昼間も活動していることは間違いありません。
 同じように夜行性の鳥と言われるトラツグミは、いかがでしょうか。鳴くのは、かなり暗くなってからです。だいたい初夏の森ならば午後9時以降、多くの夜行性の鳥が日没とともに鳴き始めるのに対して、完全に暗くなってから鳴く傾向があります。鳴く時間だけで見れば、完全な夜行性の鳥です。しかし、昼間も良く出会います。越冬期ならば、明るい海辺の防風林でさかんに地面を歩いているという出会いです。繁殖期、ミミズを口いっぱいに加えて雛に与える写真を見たことがありますが、昼間です。また、林道の際でミミズを探す姿を見ることがあるのではないでしょうか。これを見れば、トラツグミも夜行性とは思えない姿です。
 このほか、ゴイサギはいかがでしょうか。日没後にねぐらから飛び立ち、活動を始めますが、昼間もよく動いています。ゴイサギの研究家・E藤さんは、薄暮性という言い方をしていますが、そんな分け方も面白いと思います。
 フクロウやコノハズクが昼間鳴いているのを聞いたことがあります。このほか、夜行性と言われている鳥を見ると、いろいろ例外が出てきそう。
 今後の課題としての話題でした。

2017年5月28日 (日)

渡ってきて2週間しかさえずらない鳥たち

 まだ、ヤイロチョウのさえずりを録音したことがありません。なんでも、4月中旬に渡ってきて、その後2週間しかさえずらないと聞いています。同じく、ミゾゴイも4月下旬のみ。半月間しかさえずらないと言われていましたが、やっと録音できました。その後、同じ場所で録音をしつづけたS木♂さんによると毎日は鳴かないことがわかりました。雨や風の日もあるでしょうし、他の仕事を考えたら2週間も半月も一瞬です。きわめて録音のチャンスの少ない鳥たちということになります。
 2週間は、ほんとに短いと思いますが、サンショウクイ、コサメビタキといった鳥たちはだいたい5月いっぱいで鳴きやみます。さえずり続けるのは、1ヶ月がいいところでしょう。オオルリ、キビタキが6月まで鳴き、さえずりの期間が長い鳥たちです。それでも、7月になったらもう録音のネタは、標高の高いところへいくか、北海道など北へ行くかありません。
 1970年代学生の頃、夏休みに入ると軽井沢に飛んでいきました。夏休みですから7月10日以降です。それでも、昼間たくさんの鳥が鳴いていて、姿と声を確認してバードウォッチングの腕を磨きました。それが、今ではシーンとしてます。
 前回の「小鳥は、夜明け前後しか鳴かなくなったのか?」とも関連するのですが、基本は数の減少でしょう。結果、密度が低くなり競争する必要がなくので、さえずる必要がない、そのために早く鳴きやんでしまうのではないかと思います。
 たくさんいれば、独身雄がいて雌を求めて鳴く。となりのなわばりの既婚雄は、それにつられて、あるいは雌を奪われないためにさえずらざるを得ないということになると思います。
 これから、さらに密度が減れば、さえずる期間が短くなる種類が増えるでしょう。それと、同時に競争が減るわけですから、さえずりが単純になったり短くなる可能性もあります。現在の音と未来の音と比較すると、違いが出るかもしれません。まずは、今を録音しておくことかな。

2017年5月26日 (金)

小鳥は、夜明け前後しか鳴かなくなったのか?

 奄美大島のオオトラツグミは「夜明け前10分間しか鳴かない」と言われています。これを聞いて、これは貴重、録音するのはたいへんだと思いました。実際、奄美では録音機をどこに置こうか、あたふたしているうちに鳴きやんでしまった経験をしています。
 ところが、夜明け前の録音をするようになると、オオトラツグミのように早朝の短い時間しか鳴かない鳥がけっこういることに気がつきました。
 最初に気がついたのは、マミジロです。夕方、森のなかで日が沈む瞬間に鳴き始め、周辺でも数羽のマミジロが呼応するように鳴き、数分で鳴きやんでしまいました。このときの録音は、わずか3分でした。同じように早朝にも鳴きます。しかし、朝はアカハラなどの大合唱にまぎれてわかりにくいのですが、やはり10分程度です。オオトラツグミとよい勝負です。
 タイマー録音をするようになると夜明け前後の録音が驚異的に増えましたので、このような鳥が多いこともわかりました。意外と思われるかもしれませんが、コジュケイも場所によっては夜明けに1回鳴いて、あとは「シーン」というパターンがありました。減ったと言われてるコジュケイ、昼間は鳴かないので気がつかないだけかもしれません。
 実は、奄美大島のオオトラツグミも、繁殖期初期には長くさえずり続けることがあるそうです。同じように、夏鳥たちも渡ってきたばかりの時は、長く鳴くけれど、なわばりが安定するとさえずりの頻度は減っていき、夜明け前後に少し鳴いて終わりになるのではと思います。
 あと、ポイントは密度で、さえずりって周辺の仲間が多く反応があれば鳴き続けますが、それがないと鳴かないことがあると思います。録音を聞くと、さえずっている奥には必ず別のさえずりが聞こえます。鳴き合う雄がいないと、鳴きやむか、短いのです。また、密度が高ければ独身雄がいて雌を求めて鳴き続けるので、それにつられて既婚雄が昼間も鳴くのではとも思っています。密度が低ければ朝、周辺の雄と存在を確認しあったら終わりというパターンではないかと推測しています。
 だいたい、私がタイマー録音をしかけた録音機を森に回収に行くのは、午前9時頃です。そのころの森は、しーんと静まりかえっています。しかし、夜明け前後の録音を聞くと、うるさいくらい鳴いています。
 それを聞くと昼間、私たち見ている鳥相って、そこに住む野鳥の種類も数も反映していない可能性が高いことを実感します。
    

2017年5月 9日 (火)

不明ムシクイのさえずりは?

 六義園を常連さんのK藤♂さんと歩いていたら、ムシクイらしい声がすると教えてくれました(2017年4月20日)。私には聞こえない高い音で鳴いているようで、とりあえず彼の指さす方向に録音機を向けて録音しました。このような声です。
 PCM-D100で録音、ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。



 「ツツツツツ・・・」あるいは「チチチチチ・・・」でしょうか。カタカナでは表すのが難しい音色です。間を開け、長くて24回、短いと10回程度連続しています。音の高さは、4,500~7,500Hzと高く、私には聞こえづらい音域です。声紋のパターンは、への字に似た高い音と低い音が重なり合うように交互にあり、それが「ツ」という一つの音に聞こえます。さて、何でしょう。
 連続音で鳴く鳥としては、ムシクイ類が多いです。たとえば、コムシクイやアムールムシクイが頭に思い浮かびました。そのため、まずは『鳴き声ガイド日本の野鳥』をチェック、続いてBrazilさんの”Birds of East Asia”e-Book版のムシクイ類のページに載っている鳴き声をかたっぱし聞きました。このほか、ここ2週間はヒマをみつけては、ネット上にアップされている音源も聞きましたが、ぴったりと一致するものを見つけることができませんでした。
 ちなみに、コムシクイだと多少尻上がりになり、ピタッと鳴きやむ感じです。アムールムシクイは、だんだん強くなり弱まるという抑揚があります。このような鳴き方のみならず、声紋のパターンも一致しません。ただし、バリエーションもあると思いますので、いちがいに言えないところが難しいところです。そのため、飛島でムシクイ類を聞き慣れているY川さん。ロシアで実際にムシクイ類を聞き録音している北見のH田さんにおたずねしました。お二方とも「コムシクイやアムールムシクイではない、何かはわからない」と異口同音に返事をいただきました。
 ただ、Y川さんからは「一本調子で鳴く変なシジュウカラに聞こえたというのが第一印象です」とのコメント。その後、K藤♂さんからも「同じ声が聞こえたので、姿を探したらシジュウカラがいた」との報告を受けました。さらに、5月3日にテストのため置いた録音機に、遠いものの同じパターンの声が入り、その前後にシジュウカラが鳴いていました。渡り途中のムシクイ類が2週間も滞在するとは思えず、現状ではシジュウカラ説が濃厚です。
 もし、シジュウカラだとすると、バリエーションの多さには驚かされます。また、それぞれには意味があり、いずれは解明されるかと思うとわくわくします。

2017年4月25日 (火)

高い声で鳴くシジュウカラ

 タイマー録音をしていると8,000Hz前後のヤブサメ・クラスの高い声が、入っていることがあります。種類は不明、姿の見えないタイマー録音のもどかしさです。しかし、現場にいても私には聞こえてない音域ですから姿の確認をしようとも思わないことでしょう。ただ、前後に鳴いている声から、キバシリ、キクイタダキ、エナガ、そしてシジュウカラなどをうたぐっています。
 先日、日光の雑木林に置いた録音機に高音の鳴き声が入っていました。続けて聞こえたのは、シジュウカラのさえずり。高音は、シジュウカラだと思われます。シジュウカラが、このような高い声で鳴くのは若い頃も聞いたことがありませんでした。
 YAMAHA W24でタイマー録音。モノラルに変換。ボリュームのアップ、2,000Hz以下のノイズの軽減をしています。



 高音を残すために高品位のmp3フォーマットにしています。バイト数が多くなるので、モノラルに変換しています。
 「ツーツーツー」あるいは「チーチーチー」と聞こえる声で、7,000~8,000Hzの狭い音域にあり3声続けて鳴いています。このあとにシジュウカラの「ツピー、ツピー」が聞こえるはずです。リズムと鳴き方は、幼鳥の鳴き合う声に似ていますが、幼鳥の鳴き合う声は6,000Hzに中心があり8,000Hzくらいまでです。幼鳥の声に比べて、高い音域で鳴いています。なおこの鳴き声は、スピーカーやイヤーフォンによっては聞きづらいかもしれません。さらに、個人によって聞きづらい音域ですので、ご了承ください。
 この同じ部分の声紋表示です。

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 左右が51秒、天地が10,000Hzです。聞くかぎり同じ距離で鳴いているように聞こえ、声紋を見ても同じ鳥がそのまま鳴き続けているように見えます。「ツーツーツー」と鳴いてさえずっていますので、前奏のような感じがします。
 いままで録音したシジュウカラのさえずりをチェックしてみたところ、同じような高音が前奏に入っている例が1件ありました。面白いのは、同じ日光の雑木林で5年前の録音でした。この地域特有の鳴き方なのか気になるところですが、シジュウカラがこのような高音で鳴くことがわかりました。
 それにしても、シジュウカラ一つとってみても、いろいろな鳴き方をするのですね。

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