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2019年3月30日 (土)

今年のシダレザクラ-六義園

 このところNiftyのブログが絶不調のため、投稿を控えておりました。
 写真はなんとかアップできそうですが、音声はまだダメです。
 そのため、画像ネタを。
 六義園名物のシダレザクラは、本日はもう散り始めています。ソメイヨシノはこれからという感じです。
 名物のシダレザクラがきれいだった頃の写真です。2004年3月26日に撮影しています。今から、15年前です。

Rikugien1803223

 このシダレザクラに異変が起きたのは、3年前です。木の上部4分の1ほどの枝に花が付かないで、寂しい感じでした。2017年3月30日に撮影しています。

Sidare1703301
 この年は、アトリの群れが多い時で100羽を超えていましたので、アトリ犯人説があって肩身の狭い思いをしました。
 しかし、去年も快復はしたもののやはり上の方の花の付きがよくありませんでした。2018年3月25日に撮影してものです。
Rikugien180325
 去年は、アトリは数羽が短時間に訪れただけです。
 ということで、今年の状況です。2019年3月24日撮影です。
Rikugien190323

 去年より良いけれど、一時期のピンクの滝のような感じはなくなってしまいました。はじめて、このシダレザクラを見たらならば、それなりにきれいだと思ってくれると思います。しかし、最盛期を知っている者としては、寂しい気分です。ちなみに、今年もアトリは数羽が、短期間見られた程度でした。
 黒い太い幹が、しだれた花で隠れていたのが、花が少なくて見えるようになったと思います。加えて、花の色がピンクであったものが、白くなっている印象があります。
 サクラの花に触らないように1日中いるガードマンのお兄さんが、面白いことを言っていました。私が、鳥を見ていることを知ると、サクラの花にメジロがこないというのです。2,30m離れたところに、もう1本シダレザクラがあり、そちらのほうがメジロが来ていると話してくれました。この後、小1時間観察していましたが、1羽もメジロはやってきませんでした。近くの千里場のソメイヨシノでは、数10羽のメジロが飛び交っているのを観察していますから六義園のなかにメジロはいるはずです。
 写真は、2009年3月23日に撮影したメジロです。このときは、10羽以上のメジロがシダレザクラに群れていて3羽も一度に撮影できたものです。

Whiteeye090323
 ひょっとすると、花が付いていても蜜の量が少ないのかもしれません。やはり、全体としては木の勢いが無くなっていることは否めないと思います。
 いずれにしても、しばらく観察を続けて行けたらと思います。


2019年3月18日 (月)

ヤイロチョウはどこまでいるのか

 先週末は、日本野鳥の会東北ブロック協議会で山形県天童市におじゃまいたしました。トラフズクやらチゴハヤブサの取材で通いなれた感じの天童です。
 世話係の山形支部のY川さんは、協議会はお祭りで参加者をおもてなすというコンセプトでしたので、楽しいイベントになりました。私も短い時間でしたが、録音のお話しをさせていただきました。
 総会の会場風景です。

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 そのなかで「ヤイロチョウは夜鳴く、長時間録音に鳴き声が入っていることがあった。東京や日光でも録音されている。論文では繁殖記録は長野県南部まで。東京や日光を通るヤイロチョウは東北まで行っているかもしれないので録音しましょう」と話しました。
 ところが、その後の懇親会などで、餌を運んでいるのを見た人がいるから十和田湖で鳴き声を聞いたまで、東北地方の情報をいただきました。
 ヤイロチョウというと、かなり限定された地域の鳥の印象があります。また、南の地方限定の印象もあると思いますが、意外と薄いものの広く分布しているのかもしれません。
 ネット時代でたくさん情報が飛び交い、知見も得られますが、こうした埋もれた情報がたくさんあることを知りました。顔と顔を合わせることで、思わぬ情報を知ることができるのだと改めて実感いたしました。

 

2019年3月11日 (月)

声紋は表示の仕方で変わる-ミソサザイ

 ドラマでは、声紋で犯人がわかったりしています。まるで指紋やDNAのように簡単便利に識別できそうです。同じように野鳥の鳴き声から種類もわかるととても便利なのですが、これがそう簡単ではないと思っています。
 先日、カミさんが神奈川県の大山に行ったら、ミソサザイが変わった声で鳴いていたと録音してきました。このような声です。YAMAHA W24で録音。ボリュームのアップ、2,000Hz以下のノイズの軽減をしています。

「winter_wren190308_1421.mp3」をダウンロード

 「チャ、チャ」あるいは「ジャ、ジャ」と聞こえる地鳴きとは違う、鋭く連続した鳴き方です。近くに来て鳴いたということから、警戒、威嚇の意味があるのかもしれません。この前には、一声複雑なさえずりでも鳴いていますので、雄の鳴き声で間違いないと思います。
 これを、声紋で見ると次のように見えます。

Winter_wren1_2

 中央に大きな山型、前後に音は不明瞭ですが山型です。ちなみに魚の骨のように見えるパターンは、ヒガラのさえずりです。この図は、左右が時間で33秒、天地は音の高さで0~24,000Hzを表示しています。
 つぎに、同じ部分を5秒に拡大すると、このように見えます。天地は同じです。

Winter_wren2

 細かい山型が連続していることがわかります。なんと、2.7秒の間に50回鳴いていることになります。また、上下に倍音があって深みのある音であることもわかります。
 時間の表示によって、こんなにもパターンが違って見える例です。同じように、天地の幅によってもまったく違って見える場合もあります。
 鳥の声は、何分も続く長く鳴くものから、1秒もない短い一声までいろいろです。また、音の高さも100Hzから10,000Hzまで幅広いので、それぞれ声紋表示を変えないとわかりにくいものがあります。ですから、一律に統一することはできません。
 表示を変えることで、いろいろなパターンを見せてくれる鳥の声紋、鳴き声と同じようにとても美しいと思います。
 

2019年1月15日 (火)

クマタカを探す-日光

 クマタカの鳴き声のパターンがひとつわかりましたので、日光での録音のなかにないか探してみました。
 とにかく、あちこちでタイマー録音を仕掛けていますので、とりあえずは見たことのある場所、あるいは仲間が見つけた場所での音源を探してみました。
 なんとありました。
 ここでは、一度クマタカを見ています。飛んでいるクマタカを見ていたら鳴きましたので、さっそく録音。鳴き声は、ノスリにそっくり。クマタカの声はノスリ似かと思ったら、飛んでいた猛禽がいつの間にかノスリになっていました。木々の間を飛び交う鳥を見ていたため、いつの間にか入れ替わってしまったようです。おかげでノスリの警戒する声が録れた思い出があります。
 環境は、別荘地のはずれで、ここから日光連山に広がる森が始まるところです。標高は、700mほど。ここでヤマドリを見ましたので、母衣打ちが録音をしようと録音機を仕掛けたなかに入っていました。
 録音は、2014年5月4日午前3時に仕掛けたタイマー録音です。実際に鳴き声が入っていたのは、5時27分頃。かなり明るくなった時刻です。
 YAMAHA W24で録音。ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「mountain_hawkeagle140504.mp3」をダウンロード

 まわりでは、渡って来たばかりのキビタキやセンダイムシクイが鳴いています。水がしみ出ているところですので、タゴガエルも鳴いていました。
 いかかでしょうか。先日、アップした鳴き声とよく似ていますので、クマタカで間違いないと思います。この調子ですと、まだ他にもあるかもしれません。また、シーズンが始まったらここに録音機を仕掛けてみたいと思います。

2019年1月13日 (日)

北海道の謎の鳥はクマタカだった

 タイマー録音でなくても、謎の鳥の声を録音することがあります。
 8年前に北海道東部にシマフクロウの鳴き声を取材いったおりです。
 早朝に森の中を探索すると、ハシブトガラやヤマゲラ、オオアカゲラのドラミングなど、次から次に録音してくれとばかりにいろいろな鳥が鳴いてくれました。このとき、遠くから大きな声が聞こえてきました。甲高い声で短い声を繰り返しています。
  PCM-D1で録音。ボリュームの増幅、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「Hawk-Eagle10032602e.mp3」をダウンロード

 最初は、カモメの仲間を思い浮かべましたが、場所は海から離れた山の中、大きな川も湖もないところです。その場で録音した音源を聞いて、猛禽ではないかと思いました。北海道ですから、オオワシとオジロワシがいます。山のなかですから、オジロワシの可能性のほうが高いかなと思い、メモには「オジロワシ?」としておきました。家に帰ってから、オジロワシの鳴き声をいろいろ聞きましたが、どれとも一致しません。そのため、ファイル名は「不明」と書き直して保存しました。
 そして、ときどき思い出しては聞いていますが、どうしてもわかりませんでした。「朝の小鳥」で今年3月、北海道の早春の鳥たちをやろうと音源を探すと、この「不明」が気になりました。そのため、片っ端からいろいろ音源を聞いて当たりをつけて、たどりついたのは、クマタカでした。現在、クマタカの音源は、『野鳥大鑑』と『鳴き声ガイド日本の野鳥』に収録されているほか、バードリサーチのサイト『鳴き声図鑑』でA部さんが録音した音源を聞くことができます。しかし、どれとも完全に一致しませんでした。
 かろうじて、近いと思ったのは 、Xeno-contoのクマタカの4番目、ロシアで録音された声に雰囲気は似ていました。
 https://www.xeno-canto.org/384144
 今年になってS木♂さんのブログ「野原から」に謎の声がアップされました。
 http://blog.livedoor.jp/gnohara/archives/9249988.html
 これにも似ていたのでさっそくS木♂さんにメール。ところがS木♂さんは「この謎の声はこの謎の声を聞いたとき、姿は確認できなかったのですが、藪を移動しながら鳴いていて、私のイメージではクロツグミサイズの鳥」ということで、カケスの物真似ではないかということになりました。
 同時にS木♂さんから、動物園で記録されたYoutubeの動画を教えてもらいました。
 https://www.youtube.com/watch?v=WE7SgfJDo14
 これは、文句なくそっくりです。動画を見ると、2羽並んで大きな方が鳴いていますから、雌の声かもしれません。
 また、S木♂さんのお仲間で、クマタカを調べているY口さんにもお聞きいただき、クマタカで間違いないとのご連絡もいただきました。
 なんと、8年越しで謎の鳥がわかったことになります。
 それにしても、大きくて勇ましい感じのクマタカですが、姿に似合わない可愛い声をだすのですね。A部さんのは、さえずっているように聞こえるので雄かもしれません。そして、これが雌。この他、警戒の声や幼鳥の声など、他の鳴き方もあると思います。クマタカは、森のなかの鳥ですから当然、音によるコミュニケーションをとっているはず。それだけに、鳴き声による発見もあると思います。
 この鳴き声の雰囲気をおぼえておくと、クマタカとの遭遇があるかもしれません。
 S木♂さん、Y口さん、お世話になりました。おかげさまで、長年の喉のつかえが取れた感じです。ありがとうございました。
 

2018年12月22日 (土)

モマ笛の音色

 S田さんの奥様から、思わぬクリスマスプレゼントをいただきました。
 モマ笛です。
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 なんとも愛嬌のある顔をした笛です。九州の筑前津屋崎人形です。
 モマとは、津屋崎でフクロウのことだそうです。光の道で有名な宮地嶽神社の縁起物として昔は授与されていました。なんと、このモマ笛の起源は安永の頃(1777)にまでさかのぼり、昔はお年寄りが食事のたびにモマ笛を吹くと気道が広がるので食べ物がのどにつまらないという効果があったとか。誤飲性肺炎にならないためには、モマ笛を吹いてから食事をしたほうが良いということでしょうか。
 フクロウの方言名でモマというは聞いたことはありませんでした。マオ、あるいはマオドリは、アオバト説が有力です。鳴き声が由来であると言われています。
 モマも同じように低い声で鳴くフクロウ類に由来するのでしょうか。
 ということでさっそく吹いてみました。たしかに低い丸みのある音で、フクロウ類の鳴き声に似ています。
  九州北部で繁殖しているフクロウ類は、フクロウ、トラフズク、オオコノハズク、コノハズク、アオバズクです。フクロウの「ホホ」は出せても「ゴロスケホーホー」の複雑な節回しは、一音だけでしか出せない笛では無理でした。同じく、「ブッポウソウ」と鳴くコノハズクもできません。
 単調な声で鳴く種類では、トラフズクがいます。残念ながら、トラフズクのほうが音が低く、音色が違いました。さらに、オオコノハズクもより音が低く、かなり印象が違って聞こえます。
 九州地方では比較的多いアオバズクはどうでしょう。2音ずつ吹くと、音色も雰囲気もよく似ています。モマ笛でアオバズクの鳴き声のように吹いてみました。

「moma151222.mp3」をダウンロード

 いかがでしょうか。けっこう似ているでしょう。
  どれだけ似ているのか、声紋で比較してみました。
 まずは、本物のアオバズクです。『鳴き声ガイド日本の野鳥』に収録されているものから声紋を採りました。

Brown_boobook181222

 つぎに、モマ笛です。

Moma181222

 音の高さが600Hzにあることが共通しています。また、山型のパターンの声紋と1,200Hzあたりに倍音が出ることも似ています。モマ笛は、アオバズクの鳴き声に近いですね。
 ちなみに、アオバズクの鳴き声には個体差があって、多少音の高さやテンポが違ることはありますので、もっと違う感じから、もっとそっくりがあるかもしれません。
 そういえば、フクロウならば笛の色は灰色系になりますが、アオバズクの色のように茶色に塗られています。頭の丸みもアオバズクを彷彿させますね。
 モマは、アオバズクのことなのでしょうか。およそ250年前の地方名の検証となると、深すぎてこれはお手上げですが、楽しい謎解きです。
 S田さん、貴重な笛のプレゼントありがとうございました。

2018年11月 6日 (火)

六義園の樹木、樹齢は?

 六義園の池には、キンクロハジロの群れが舞い降りるようになりました。ジョウビタキの鳴き声を聞いた人もいて、いよいよ冬の到来です。
 9月30日から10月1日にかけて東京地方に被害を与えて台風24号の影響で倒木や折れそうな枝のため通ることのできなかった順路がありました。これらが、片づきどこも通れるようになりました。モミジのライトアップに向けての準備とあいまって、たいへんな作業だったと思います。
 倒木は伐採されてかたづけられました。そのおかげで年輪、樹齢を見ることができました。

Kusu181026
 
 千里場のクスです。一抱え以上、2抱え未満の大きさ、1.5抱えの太さといったらよいでしょうか。六義園のクスのなかでは、中くらいの太さで、千里場のある東側の辺はこの大きさのクスの並木になっているところもあります。年輪を数えてみると70本くらいでした。樹齢は70年です。

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 ツツジ茶屋(四阿)付近のケヤキです。一抱えくらいの太さが3本、根本付近から分かれているので、かなりボリューム感のあるケヤキでした。順路をふさぐように倒れたため、いちばん撤去に時間がかったところです。
 年輪は、3本がいっしょになっているところもあって、数えにくいものでしたが、いちばん太く外側の部分を数えました。およそ60本、樹齢は60年前後でした。
 こうした機会があるたびに樹齢を数えていますが、いずれも私と同じ年か少し若いくらいです。また、名物の大きなシダレザクラの樹齢は、数年前に20才のときに植えたという80才の方がいらしたので、これも60年程度と言われています。多くの樹木がこのクラスの大きさですから、現在の六義園の森を構成している木々は、戦後に生えたことになります。
 それ以前は、別の樹木が生えていて、森がゆっくりと樹種や樹木そのものを変化させてきたことになります。戦前や戦後間もない頃の絵はがきや写真を見ると、木は今よりまばらで低めです。それに比べると、現在の六義園の森は、かなり茂った状態といえるでしょう。
 また、クスもケヤキも関東地方の自然植生に多い樹種ですから、いずれも野鳥たちが糞といっしょに種を蒔いてくれたおかげかもしれません。
 それにしても、この年になると樹齢70年が若いと思うようになりました。

2018年8月12日 (日)

ミゾゴイの課題

 今年もミゾゴイ探しをちょっとしてみました。
 日光と奥多摩でかつていたところ、聞いたところを歩いたり録音機を仕掛けたりしました。どうも、ミゾゴイはいるからと言って毎夜、鳴くわけでないようです。また、一晩鳴き続けることもなく一節だけのこともあって、なかなか思うような成果を上げられないでいます。
 今回、課題を2つ上げておきます。
 まず、ミゾゴイのねぐらというのがあるのではと思いました。
 日光で以前、ミゾゴイの鳴き声を聞いたことのあるキャンプ場があります。その炊事場の下にサギ系の糞がいくつもあるのを見つけたことがあります。水っぽい糞で、いかにもサギ類の糞です。ハシブトガラスが屋根の下でねぐらをするとは思えず、ミゾゴイの可能性が高いと思っています。それから数年後には、向かいの敷地にあるやはり屋根の下で同じような糞を見つけたことがあります。
 また、先日の日光では渓流のそばの道際に糞が落ちていていました。

Japanese_nightheron18

 糞は、カラス類より小さく、より水っぽい感じです。上を見上げると、とまっていたであろうスギの木の横枝がありました。周囲の環境は渓流があり、森が両岸を覆っています。対岸では、9月に渡り途中であろうミゾゴイを見たこともあります。
 これがミゾゴイのねぐらならば、そのつもりで探してみるというのもミゾゴイの生息確認の手立てになる可能性があります。
 2つめは、幼鳥の鳴き声が不明です。
 たとえば、よく似たヨシゴイの成鳥は1,000Hz以下の声で「ウォ、ウォ、ウォ・・・」と鳴き続けます。しかし、巣から出て親鳥から食べ物のもらうステージの幼鳥はとてもリズミカルで2,000~4,000に音の中心がある高い声で鳴きます。カタカナ表記が難しい声なのですが「ケケケ、ケッケケ」、最初の「ケケケ」は平坦、「ケッケケ」は上がったり下がったりしています。親鳥の鳴き声からとても想像できない声で、これを確認するのに3日間、助っ人も必要でした。
 ヨシゴイは、巣から出た後も親鳥から給餌を受けます。ヨシに姿を隠しての行動ですから、音でのコミュニケーションが欠かせないわけで、よく聞こえる声で鳴くのでしょう。同じようにフクロウやトラフズクなどフクロウ系の鳥たちの幼鳥たちも親鳥とは似ても似つかない声で鳴きます。蒲谷鶴彦先生は、フクロウの幼鳥の解明に5年かかりました。
 ミゾゴイの営巣の観察例では、雛はあまり鳴かないとの情報もあります。巣の中では鳴かなくても巣立つとよく鳴く例がありますので、希望はあります。たとえば、前述のフクロウも巣から出た後はよく鳴きます。また、ハシブトガラスの雛は巣の中では「シャー」程度の声しか出さなかったものが、巣を出たとたん「ウンガー」とさかんに鳴きます。小さいときは、天敵に見るからないように鳴き声は最低限に抑え、巣立って飛べるようなったら餌乞いをしっかりして食べ物を多くもらうためでしょう。
 ですから、ミゾゴイにも同じように幼鳥の鳴き声というのがあるのではないかと思います。それがわかれば、繁殖の確認をより正しい記録として残すことができるのではないかと思う次第です。私の音源の謎の声にないか、まず総ざらえしてみました。残念ながら今のところ、ミゾゴイの幼鳥らしい声を聞き出していません。
 今頃が鳴いている時期です。聞く可能性があるのではと思い、ブログネタにしてみました。
  

2018年5月 9日 (水)

エナガのさえずりって?-その2

 エナガの巣を見つけて近くに録音機を置けば、いろいろな鳴き声が録れるのではないかとチャンスを狙っていました。幸いなことに今シーズン、六義園でエナガが巣作りをしているのを常連さんたちが見つけてくれました。
 エナガの巣は公園の順路、それも人が滞留する場所にあるマツでした。人の頭の上、1m余のところにも関わらず懸命に巣作りをして、少なくとも2羽の雛が巣立ちました。巣作りのスケジュールから連休中に巣立つ可能性が高く、人が多くなる連休前4月27日に録音機を置きました。結果、巣立つ数日前のタイミングとなりました。おかげで、たくさんのエナガの鳴き声が録れましたので、このほかのところで録音した音源も交えて、エナガのさえずりを考える材料にしたいと思います。
 なお、文献による情報は、鳴き声はカタカナ書きなので推測するしかありませんが、バリエーションの少ないエナガでは可能かと思います。まず、中村さんの言う小囀り、サブソングです。これは、『清棲図鑑』の「チリチリチリと可憐な声でさえずり」と同じ声だと思います。
 
「longtailed_titsubsong180427.mp3」をダウンロード

 シジュウカラとヒヨドリの声がかぶっていますが、ささやくように細かく鳴く声です。調子をかえて別の音域で、さらに細かい音で鳴くというパターンです。この鳴き声は、巣から離れたところで鳴いているようで、小さな音でした。ただ、中村さんのいうような長さを感じることはなく、この音源ではわずか6秒です。
 まだDATの時代ですが、日光で2010年5月17日に録音した鳴き声もこれと同じで、やや長めです。この音源は『鳴き声ガイド日本の野鳥』に不明として収録しています。

「longtailed_tit100517.mp3」をダウンロード

 こちらのほうが長めですが、それでも12秒です。このときは、エナガの姿は見えましたが、どのような状況であったのまで観察することはできませんでした。
 ただ、この声を聞いたのは、この日光のみ、タイマー録音にも今回入っていただけで、私の音源では2例しかありません。これは、とても小さな声のため聞こえる機会が少ないためと思われます。この鳴き声は、雌に聞こえるようにだけ雄が鳴く、ラブソングの可能性があると思っています。
 つぎによく録音されることのある地鳴きの「ジュリリ」を頻繁に繰り返す鳴き方です。今回のタイマー録音では複数回、入っていました。

「longtailed_titterritorysong180427.mp3」をダウンロード

 「ジュリリ」の間に高い音の「チチチ」が入ります。これは中村さんのいう地鳴きのうちの「『ジュルリ』とも聞こえ警戒の意味も持つ。移動を主張する『ピーピピ』」を繰り返しているように聞こえます。地鳴きの場合、もっと間がありますが、はじめは2羽が地鳴きで鳴き合っているのか思いました。しかし、他の音源でも同じようなタイミングで鳴いていますので、鳴いているのは1羽で、このような鳴き方だと考えて間違いないでしょう。この鳴き方は、長いと2分から3分にもなり、懸命に鳴いているという印象があります。今回の録音では、大きめの音で入っていましたので、巣の近くで鳴いていたと思います。こちらは、テリトリーソングの意味があるのではないかと思っています。
 さえずりの定義は議論のあるところですが、基本求愛と縄張り宣言の意味のある鳴き方と理解しています。カワラヒワなどは、求愛と縄張り宣言の鳴き方が違うのではと思っています。あくまでも私見ですが、エナガも同じように2種類のさえずりを持っているのかもしれません。
 これを検証するのは、さらなる観察例と音源が必要ですが、メモリ録音機の普及によって野鳥録音が簡単にできるようなり、今後より確かなことがいえるようになると思います。

2018年5月 8日 (火)

エナガのさえずりって?-その1

 エナガのさえずりが課題です。このシーズンになると、なんとか解明しようとするのですが、なかなか思うようにサンプルの収集ができないでいます。
 まず、エナガは群れで生活し、繁殖期も仲間同士が近くで巣作りをするので、いわゆる縄張りを構えず、そのための縄張り宣言となるさえずりがないか、頻度が少ないということになると思っていました。
 たとえば、ネットで「エナガ さえずり」のキーワードで検索して調べてみると「地鳴きは『ジュリリ』『チュリリ』と濁った声を出します。さえずりは高い声で『チー』と鳴きます」や「『ジュリ、ジュリ、ツリリ、チーチー』と繁殖期に関係なく1年中さえずっている。」から「さえずりはない」まであって、あてになりません。また、音声をアップしているバードリサーチの「鳴き声図鑑」にはエナガの項目にさえずりはありません。また、海外のXeno-contoでは、ほとんどがcallとなっていて数少ないsongを聞いてもよく聞くことのある「ジュリリ」という声でした。
 ざっと文献を調べてみると、鳴き声研究の創始者・川村多実二さんは「(さえずりは)地鳴きに紛らわしい高音のほうは『チー チー、ジー ジー』、または『ヂュルリ、ヂュルリ』という声」(1947)。清棲図鑑には「チリチリチリ」と可憐な声でさえずり「ジュリ、ジュリ、ジュリ、ジュリ」と地鳴きする(清棲幸保・1965)と書かれています。
 また、エナガと言えば中村登流さん。著書の『森のひびき』(1972)には、「エナガはサブソングを持ちながらソングのない鳥です」と書かれています。しかし、サブソングで鳴いていたという表現があるものの、どのような声なのか記述を見つけることができませんでした。
 さらに、野鳥誌への投稿された『エナガの言語的発音表現について』(1959)には「さえずりに相当するものはないようだ」とし「小囀りとしてぐぜりのように聞こえ、シジュウカラの小囀りに似たもので、頻繁に『チルルルルル』のような顫音が入り長々と歌うものだ」という。ちなみに、本種の声を5系統に分け「あまり意味のない単音の『チッ』『ツッ』『ツュッ』。今までの行動をやめる警戒の意味もある『ツリュリュ』、これは『ジュルリ』とも聞こえ警戒の意味も持つ。移動を主張する『ピーピピ』。結集を要求する『チルルルル』。争いを含めた自己主張の意味の『ツピッ』である」としています。
 『森のひびき』の”サブソング”と『エナガの言語的発音表現について』の”小囀り”は同じことを言っているようです。年代は児童書のほうが新しいので、当時使われ始めた言葉を使ったのでしょう。そのため、サブソングは「頻繁に『チルルルルル』のような顫音が入り長々と歌うもの」で、基本さえずりはないというスタンスです。
 つづく。

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