研究

2016年4月 3日 (日)

オオアカゲラ-ドラミングで区別できるか

 2ヶ月半ぶりに日光に行って来ました。東京はサクラが満開、電車の窓からはそれが栃木あたりで5分咲きから3分咲きとなり、今市あたりでウメの花となりました。まるでタイムマシンに乗って、時間が戻っていくような錯覚をします。ですから、日光の山の芽吹きはまだ、標高千メートルを超えると谷筋には雪がたくさん残っていました。
 でも、野鳥たちは春まっさかり、ウグイス、コガラ、ヒガラ、ゴジュウカラ、ミソサザイと言った早春の鳥たちがさえずり、午前5時半ごろはコーラスとなっていました。
 今回の成果は、オオアカゲラのドラミングです。以前、北海道でエゾオオアカゲラのドラミングは録音していますが、本州の亜種オオアカゲラのドラミングは初めてです。
 PCM-D100で録音、フェードアウトとフェードインだけで、ボリュームはそのまま、低音の軽減もしていません。



   20~30mしか離れていない上に大きな音なので、とてもクリアに録ることができました。近いがゆえに姿もしっかりと確認することができて、オオアカゲラのドラミングと解ったしだいです。
 キツツキ類のドラミングの録音は多数ありますが、姿が確認できての音源はわずかしかありません。キツツキ類は警戒心が強いうえに良く茂った森にいるので、姿がとても確認しづらいのです。まして、無人のタイマー録音ではドラマーの主を特定することができないもどかしさがあります。
 以前、ドラミングから種の同定ができないか録音仲間が、チャレンジしたことがあります。しかし、アカゲラとアオゲラすら検証するだけのサンプルを集めることができないで頓挫しています。まして、数の少ないオオアカゲラはもっとたいへんでしょう。
 今回、オオアカゲラのドラミングを波形を見て気がついたことがあります。アカゲラより叩く回数が多いのです。アカゲラは、20回前後。少ないと17回、多くて27回程度の回数になります。今回のオオアカゲラは、37回が多く、少なくても34回でした。10回多く叩いていることになります。ただ、これはコンピュータで波形表示し数えての数字です。野外で聞いて数えることができませんし、その違いがわかるかどうか微妙な差です。少なくとも今回は、現場では気がつきませんでした。
 私のコレクションでは、サンプルの多いアカゲラすら10数例しかありませんし、オオアカゲラは1例だけですから、まだなんとも言えません。成鳥と若鳥、繁殖のステージ、地方差、個体差をクリアするのは、まだまだ先が長い話です。ただ今後、録音機の普及にともなって、データ収集ができれば、将来ドラミングによる種類の同定ができるようになるかもしれません。いずれにしても、楽しみな課題です。  

2016年3月20日 (日)

ヤブサメのさえずりに地方差

 以前、ヤブサメの研究家K沖さんに日光で録音したヤブサメのさえずりをお聞かせしたところ「関東弁ですね」と言われたことがあります。彼によると、関西では長く鳴き、さらに渡って来たばかりの頃や夜は鳴き方が異なり、いくつもパターンがあるとのことでした。
 ヤブサメのさえずりは、虫のように「ジジジ・・・」と多少尻上がりに鳴くことしか知りませんでしたので、目からウロコでした。ということで、私の音源をチェックしたら一昨年、山形県羽黒山で録音したヤブサメのさえずりが、関東のものとは違うパターンであることに気がつきました。
 さえずりをアップしたいのですが、ヤブサメの声は8,000Hzを越えています。このブログは、mp3でないと受け付けてくれません。mp3は、高い音がカットされてしまうために音でお伝えすることができません。ここでは、声紋をアップいたします。この図の左右は時間で10秒間。天地は音の高さで、0~22,000Hzです。
 栃木県日光、2015年5月23日に録音。
Stubtailnikko_2

 山形県羽黒山、2014年7月1日に録音。
Stubtailhaguro

 いずれも、8,000Hzに音の中心があり、160,000Hzあたりにうっすらと倍音があることが共通しています。違いは、関東のものは「チリチリチリーッ」と尻上がりなのですが、羽黒山のものは「リッ、リッ、リッ」と区切って鳴き平坦に聞こえます。声紋で見ると、羽黒山のものははっきり節が見えて、一節が10音の連続であることがわかります。しかし、関東のものは不明瞭です。関東では、日光や箱根で録音しており音源は複数あります。いずれも同じパターンです。しかし、羽黒山では1例しか録音していませんので個体差の可能性もあります。
 ということで、昨日行われた立教大学教授上田恵介先生の最終講義の会場で、K沖さんを見つけて聞くと、東北なまりで鳴くことはすでにご存知で、地方差ということでよろしいようです。
 この違い、関東から東北にかけてグラディーションのように少しずつ違っていくのか、それともどこかに分水嶺があるのか、興味は尽きません。録音機が普及してサンプルがたくさん集まると、この課題も解決する日が来るかもしれません。

2014年8月25日 (月)

日本鳥学会最終日とCyber Forestのご紹介

 IOCから続く日本鳥学会も最終日、今日は口頭発表が中心でした。
 鳴き声系では、鈴木俊貴さんのシジュウカラの警戒声はカラスかヘビで異なり、雛もそれに対応して行動するという発見の続編で、雛と同じように抱卵中の雌も反応するという報告がありました。IOCのポスターでは、声紋が表示されているものが散見し、鳴き声による研究がどんどん増えて発展していることがわかります。
 また、休憩時間中には、研究者の方から録音機材の選定や分析ソフトについての質問をいくつか受けました。また、不明の鳴き声についても質問されたり、議論をしました。拙ブログのネタ程度であれば、10日分くらいのネタを仕込めた感じです。
 これらおいおい紹介するとして、I田さんからぜひ紹介して欲しいと頼まれたプロジェクトがあります。Cyber Forestです。
 これは、東京大学サイバーフォレスト研究チームが行っている事業で、全国8ヶ所の自然のなかにロボットカメラを設置してあって、日々の環境の変化や鳥の鳴き声などを記録しています。それと同時に、リアルタイムでその動画や音声データをインターネットなどを利用して発信するという事業です。ひとつに、森林環境のモニタリングを続け、環境の変化などを把握することですが、記録データを近県の小中学生に発信し遠隔授業を行なうなど、教育の場での利用も進めています。
 なんと言っても魅力は、インターネットを通じて、居ながらにして自然の雰囲気を味わえることになります。仕事しながら、ちょっと癒やしのためにのぞいてみるという利用が正解かもしれません。
 下記URLで、Cyber Forestに行けます。ライブでの配信時間は決まっており、現状まだ確かめていません。今日あたりならば、もう虫の声が聞こえてくることと思います。
http://landscape.nenv.k.u-tokyo.ac.jp/cyberforest/Welcome.html

2014年8月20日 (水)

シマフクロウの鳴き声にロシアと日本の違いがあるか

 今日の午後は、日本野鳥の会の事務所にて打ち合わせ5連発でした。おかげで、昼寝をしなかった午後は久しぶりです。
 打ち合わせついでに、以前から知りたかったことをT岡さんにおたずねしました。
 話のいきさつはまず、マーク・ブラジルさんの”Birds of East Asia”のe-book化に伴い、私の音源を300種余り提供しました。先日、ブラジルさんから「シマフクロウの声が、雄が鳴いた後、雌が2回鳴いている。2回鳴くのはロシア産のシマフクロウの特徴。ロシアで録音したのか?」との問い合わせのメールがありました。
 私が録音したのは、芽登温泉です。もちろん日本の北海道です。そう言われて、蒲谷鶴彦先生の『野鳥大鑑』と上田秀雄さんの『野鳥の声280』を聞いてみると、確かに雄の声のあとに鳴く雌は一声です。ということは、亜種が異なるはずのロシアのシマフクロウが、日本に来ていることになるでしょうか。
 まずは、私が録音したシマフクロウの声です。PCM-D1で録音、音量の増幅、ノイズリダクションをかけています。声と声との感覚は30秒以上あり、アップできる限界を超えますので一声のみです。



 一つの声に聞こえますが、雄が一声鳴いた後に雌が鳴いてデュエットしています。雄の声は「ブフ」、雌の声は「ヴ、ヴ」と聞こえます。確かに雌の声は2声です。
 このあたりのことを、北海道で長いレンジャー経験を持ち、現在もシマフクロウの保護に取り組んでいるT岡さんならば、ご存知の情報があるのではと思い、おたずねをしました。
 驚いたことに、T岡さんの情報では国後島では、雌が先に鳴き雄が後に鳴くという情報があるとのことでした。
 おそらくブラジルさんが言っているロシアはウスリー地方のことでしょう。日本海と北海道を挟んで、千島列島ではさらに異なることになります。また、シマフクロウの鳴き方には個体差があって、高い音で鳴くものもいるし、回数が異なるものもいるとのこと。そのため、さえずりから個体識別ができるほどだそうです。
 いずれにしても、個体数が少なくサンプル数を得にくいシマフクロウのことですから、まだ確定的なことは言えません。シマフクロウの声は、単純ですが奥が深いことがわかりました。また、単純な声だけに解析はしやすいと思いますので、今後も継続して調べてみたいと思います。
 T岡さん、いろいろ教えていただきありがとうございました。

2014年6月22日 (日)

日本で初めてのオオコノハズクの録音-「ミミズクのポウ助」から

 『全集日本野鳥記1』(1985・講談社)を入手して、崎川範行さんのオオコノハズクの飼育記録などをていねいに読むと、いろいろ面白いことがわかりました。たとえば、オオコノハズクを飼うことができたのは、アメリカのゼネラル・モーター製の電気冷蔵庫が20年前からあったおかげと書いています。餌にしていた生肉やソーセージの保存することができたからです。戦前から電気冷蔵庫がある家があったのですね。崎川家が、かなり裕福であったことがわかります。
 報告のなかで、2回テレビの取材を受け視聴しようとしています。飼い始めた1957年はまだTVが一般家庭に普及していない頃で、1959年の皇太子のご成婚や1964年の東京オリンピックを契機にTVが爆発的に普及し始めます。飼育後期が、これと重なりますが、やはり一般家庭ではまだTVが珍しかった時代です。
 いずれも1960年代の時代を彷彿させ、私の世代には懐かしいことがらです。今の人には映画『三丁目の夕日』の世界といえば、想像していただけるでしょうか。
 それにもまして、中西悟堂からは「オオコノハズクはどこにでもいくらでもいる鳥だとのこと。東京都内でも珍しく何ともない。ただ形も小さく、声も低いので人目に付かないまでのこと」だと言われます。オオコノハズクも、サンコウチョウ、サンショウクイ、コサメビタキと言ったかつては多かったけれど激減した身近な鳥のひとつだったことがわかります。武蔵野の雑木林を代表する里山の鳥だったのです。今では、オオコノハズクの繁殖地はコノハズクの領域と同じとなり、出会いはきわめて少なくなりました。当時は、里山はオオコノハズク、奥山にはコノハズクと生息環境をわかち合っていたことになります。
 全集に収録されている「私の鳥類学」には、崎川さんがどうやって鳥の声を学んだか書かれています。当時、野鳥のレコードは2、3点しか発売されていません。そのため、野鳥の声を覚えるために、カスミ網で捕らえられた野鳥を小鳥屋から買ってきて、鳴かせるという方法をとります。そして、鳴き声を覚えると放してやるのです。今となっては物議をかもす行為ですが、お金と手間のかかる勉強法です。
 ということで、崎川さんはこのオオコノハズクの鳴き声を録音しようと何度か試みます。
 当時のレコーダーは、オープンリールしかありません。蒲谷鶴彦先生は、この時代はソニーのEM-1というゼンマイ式のレコーダーを使っています。ソニーが真空管方式のTC-211を発売するのは、1960年代に入ってからです。おそらく、冷蔵庫もアメリカ製を使っていた崎川さんのことですから、電源が取れる家のなか使っているのでアメリカ製のウエブスターあたりではないかと推測いたします。
  実は、ラジオの取材やTVの取材では、思うようにオオコノハズクが鳴いてくれず、苦労をします。ところが、偶然にも録音成功は成功、そのいきさつです。
「私が不精をして、原稿を書く代わりにテープレコーダーに吹き込んでいたときのことだった。たまたまポウ助の傍で録音をしていたのだか、その時突然彼がポッ、ポッと鳩時計を鳴いたようである。私は咄嗟に喋るのを止めたから、彼の声だけがうまくテープに入ることになった。このテープは日本にたった一つのオオコノハズクの声の録音であろうと、私は自慢しているのである。」たしかに、当時の日本で唯一、最初の録音といえるでしょう。
 そして、もう一度、録音のチャンスが訪れます。ただ鳴いてしばらくして、このオオコノハズクはお亡くなりになります。死の直前の一鳴きを録音したことになります。
 今でもこの音源は、崎川家に残っているのでしょうか。ぜひ聞いてみたいものです。 

2014年6月21日 (土)

「ミミズクのポウ助」-オオコノハズクの声の確実な記録

 本州のオオコノハズクがどのように鳴くのか、資料がなくて苦慮しておりました。だいぶ前に録音仲間のE村さんから「オオコノハズクの飼育記録に鳴き声のことも書いてある」と、コピーをいただきました。崎川範行さんの「オオコノハズク奇談」と「ミミズクのポウ助」です。これは、下村兼二、堀内讃位、崎川範行、鴨川誠・著『全集日本野鳥記1』(1985・講談社)に収録されているものでした。今回、オリジナルを入手することができましたので紹介したいと思います。この全集には、崎川さんの文章が12編(36ページ)収録されていますが、このうちの2編20ページ分がオオコノハズクの飼育記録です。
 なお、崎川範行さん(1909-2006)は、東京工業大教授、のちに名誉教授。専門は燃料化学のほか、趣味の宝石、焼き物なども研究でも知られています。また、日本野鳥の会の古くからの会員で中西悟堂とも親交があり、『野鳥』誌にたびたび投稿しています。
 この記録は、藤原英司さんの解説によると1957(昭和32)年頃のこと。オオコノハズクは、大学の煙突のなかに入っていたのを学生に捕らえられたものだそうで、ポウ助と名付けて6年間死ぬまで飼育しています。当時も東京工業大学は、東京都目黒区大岡山にあり、そこで捕獲されたことになります。捕獲されたのは、”一昨年の秋”と書かれていますので、越冬していたものでしょう。
 たとえば、中西悟堂の『野鳥と共に』(1935・巣林書房)にも、オオコノハズクの飼育記録が収録されていますが、鳴き声についての記述はありません。悟堂は彼女と言っているので雌だったのかもしれませんが、その根拠も書かれておらず、残念な記録となっています。その点、崎川さんは科学者であるだけに、たいへん緻密で客観的な記述がされていて、とても参考になりました。では、鳴き声についての部分を抜き出して紹介します。

『オオコノハズク奇談』(注:飼育2年目の記録)
「見かけによらぬ可愛らしい声で、ポッポッポッポッ、というのである。ちょうどあの鳩時計の調子で、ただ、次第に低く下げてゆくのである。(中略)そのあとに続けて、ホーウ、ホーウと呼ぶ」
「昼間眠いときに、低い声でオギャー、オギャーと赤ん坊の泣き声のようなのを繰り返している。」
「そのほか、竹の管を吹いたような声をだすことがある。これは、恐怖の時の叫びであり、高音でポーッと昔の汽車のような声をだすのは甘えているしるしである」
「突然、人影が現れたような時は、キキキッと小さいながら鋭い声を出す。」
「威嚇は嘴をパチパチ鳴らして、フウ、フウという呼気音をだす。」
「だいたいにおいて無口である。例のポッポッポッもめったには鳴かない。」

『ミミズクのポウ助』 (注:飼育6年目、死亡後の記録)
「部屋に子供たちが集まって賑やかなときは、楽しそうに低い声でホーウ、ホーウと繰り返して鳴いている。」
「誰もいない時に突然ドアをあけて部屋にはいると、小声でキ キ キ キッと叫ぶ。(中略)中西悟堂氏はそれを嬉しい時の声ではないかと言われる。悟堂氏のところのオオコノハズクは餌をもらった時、この声を出すそうだ。」
「きげんの良いときにはコロコロッという声をだすことがある。」
「例の低声のホーウ、ホーウがその本来の歌なのだと思う。アオバズクやフクロウように大きな声をださいので人に知られていないのだろう。」
「1日1度か2度ポッポッポッポウと鳩時計そっくりの声をだす。(中略)オオコノハズクの囀りだと思っている。」

 まず、”鳩時計のような声”の「ポッポッポッポウ」は、拙ブログでは木魚鳴きとしているさえずりと思われる声でよろしいかと思います。低い声で、大きな声でないと書かれているので合致します。また、あまり鳴かないのは飼育下で雌の存在という刺激がない、あるいは呼応する他の雄の声が聞こえないためだったのでしょう。この声は、テリトリーソングではないかと推測しています。
 「ホーウ、ホーウ」は、『野鳥大鑑』に収録されている音源にもあり、私が行徳野鳥観察舎で録音できた「プオー」という声に相当するものだと思います。蒲谷先生は、雄と雌が巣のそばで鳴き交わしていたときの声と書いています。この声は、ラブソングの可能性があります。
 「キキキッ」「キ キ キ キッ」は、行徳野鳥観察舎と野外でも録音できている声で、崎川さんは、はじめは警戒と思ったが嬉しいときの声であった言っています。『野鳥大鑑』に収録されている音源も私の行徳野鳥観察舎での録音でも「プオ-」といっしょに「キュリリリ」もあり、ラブソングの合間に喜びを表しているのではと思います。「コロコロッ」もこれに近い声なので、同じ意味でしょう。
 ”赤ん坊のような”「オギャー、オギャー」という声は、『野鳥大鑑』に収録されている2番目の地鳴きとされている声に相当すると思われ、存在の確認をするための声だと思います。
 崎川さんの記録で、今までオオコノハズクの声であろうと思われながら書かれていないのは、イヌのような声の「ワ、ファファファ」とネコのような声の「ミュー、ミュー」です。これに相当する声の記述はありません。崎川さんが飼育していたのは、さえずりをしているので雄。となると、書かれていない声は雌特有の声なのかもしれません。
 これらを元に、今後の野外での録音、あるいは飼育下での記録から、オオコノハズクの鳴き声を解明するヒントになればと思います。
 E村さんからコピーをいただいたお陰で、面白いことがわかりました。お礼申し上げます。

2013年4月19日 (金)

白っぽいモズか?-六義園

 昨日、「シマアカモズか-六義園」でアップしたモズについて、ご意見をいただきました。T木さんからは「嘴の形状、基部の肉色、眉斑、頭の形状、頭の体との比率などからモズでシマアカモズに見えない」「高原モズの雌ではないか」とのご意見をいただきました。T木さんは、南西諸島にたびたびいらしている方です。私自身、シマアカモズを見たのは数回ですので、数多くご覧になっているT木さんのご意見はありがたく、感謝いたします。
 また、W部さんからは「翼式はモズとも一致するように思います」とのこと。わざわざ、図鑑を調べていただいたW部さんにもお礼申し上げます。
 ただ、六義園で実物を見た印象では、モズらしくなかったので困っています。といって、シマアカモズという確証も弱くタイトルを「シマアカモズか」とさせていただいたわけです。ブログ、Facebookに情報を公開することで、あわよくばご意見をいただければと思ったしだいです。
 なお、翼式もアカモズとモズはあっても、シマアカモズを見つけていません。亜種では、翼式が変わるのか、これまた大きな課題です。さらに、”モズ”で画像検索をかけても、同じような色のモズが見つからないので裏が取れず苦慮しております。
 いずれにしも、シマアカモズ説はひとまず撤回します。モズとするならば、かなり白っぽい個体ですので、個体識別が可能です。どこかで誰かが、再発見してくれることを祈ります。
 鳥が図鑑どおりとは限らないのは当たり前のこと、すべてが解るとは限らないのが自然ということで、ご勘弁ご容赦いただければ幸いです。

2013年3月24日 (日)

石沢慈鳥と鳥類-山形県立博物館

 石沢慈鳥の聞きなしや俗説の考証などの文献は、『野鳥大鑑』執筆の折、おおいに参考にさせてもらいました。その石沢が、山形出身とは知りませんでした。日本野鳥の会山形支部のY川さんから、山形県立博物館で「石沢慈鳥と鳥類」の展示会が開催されていると聞いて、今回の山形行きのスケジュールに入れました。
 中西悟堂も山階芳麿も知らないバードウォッチャーがいるなかで、石沢慈鳥を知っている人がいるのでしょうか。そんな時代に、石沢の企画展を開催した山形県立博物館には、感謝です。
 石沢は、悟堂が日本野鳥の会を中心に活動を開始する以前の鳥業界を担った一人です。悟堂の存在が大きいだけに、それ以前の鳥業界の活動は目立ちませんが、石沢など多くの研究者が鳥業界を支え、そのおかげで日本野鳥の会の発足に至るのです。
 石沢は、林野庁の鳥獣調査室に勤務し研究をしました。この調査室は内田清之助が礎を築いたものです。その事業は林業試験場、そして現在の森林総研へと連綿と受け継がれている国政のなかの研究機関です。石沢の歩んだ道は、いわば日本の鳥類研究の王道であったのです。また、戦中戦後の動乱期にも関わらず鳥類研究を続け、現在こうして私たちが安穏とバードウォッチングを楽しめるのも、彼のような人がいたおかげだと思います。
 展示の多くは、石沢のコレクションの剥製と卵です。剥製と卵が並んでいるので、ミソサザイは体の大きさのわりに大きな卵を産んでいることがわかるなど、新鮮な発見があります。また、剥製のラベルと見るとタマシギが千葉県松戸で採集されていたなど、昔の生息地を知ることができました。
Ishizawa130223

 石沢の出身地は、山形県東村山郡長崎町(現在の中山町)です。前日、Y川さんに田んぼにコハクチョウの群れが下りていると案内してもらったところでした。広大な田んぼがひろがり、東に蔵王、西に朝日岳などの山々が望めるのどかな風景が広がっていました。ここで、石沢少年が野鳥に目覚め、自然に親しんだかと思うと感慨無量です。
 「石沢慈鳥と鳥類」展は、2013年5月12日まで。詳しくは、下記URLでお確かめください。
 http://www.yamagata-museum.jp/event/schedule/h24/ishizawa_jichou/

2013年1月30日 (水)

一年間録音!?-『Bird Research Vol. 8』の紹介

 NPO法人バードリサーチの論文集『Bird Research Vol. 8』が、今日届きました。友人知人の発表が多いので、丁寧に読ませていただきました。原著論文5編、短報6報、その他2編、合計13件の内、録音や鳴き声に関する論文が5編もありました。メモリ録音機の普及が、鳥学の研究に寄与していることを如実に物語っています。

Birdresearchvol8

 この中には、先秋の日本鳥学会のポスター発表を行った関伸一さんの離れ島で1年間録音して鳥相の解明を行った報告が収録されています。タイトルは「自動撮影カメラとタイマー付録音機で記録されたトカラ列島の無人島群における鳥類相」です。これは、トカラ列島の臥蛇島、上ノ根島、横当島の3つの無人島で行ったものです。この結果、それぞれの島で、新たに記録された鳥が多数ありました。なかでも、アカヒゲとアカコッコの新しい生息地を確認することができ、アカコッコの南限も広がったことになります。
 論文には、機材名が書かれていました。録音機はオリンパスのVoiceTreck DS-750、マイクはオーディオテクニカのAT-9904、これに本体の単3電池2本に加え、外付けで単1電池2本をつなげてのセット構成です。金額にして、1セット2万円くらいでしょう。
 タイマーは、午前5時~8時、午前7時~8時、午後8時~21時の設定で週1回の録音です。いくつかの失敗はあったものの、このセットで1年間録音が可能と言うことになります。それにしても、1年間となるとかなりでデータ量になり、これを聞き取るのですからさぞご苦労されたことと思います。それにしても、機材を雨ざらしで1年間、放置しての録音とは思い切ったことをしたものです。
 先日、関さんからこの音源の一部をいただき、聞かせてもらいました。夜明け前にオオミズナギドリがにぎやかに鳴き合いながら飛び立ち、その喧噪が静かになるとアカヒゲがさえずり始める瞬間をとらえたものです。目をつぶって聞くと、真っ暗な暗い森から朝日が差して来て木々の葉から朝露が光る雰囲気が音として聞こえて来るような感じがしました。
 研究のための録音とは言え、野鳥録音の可能性が広がる音源でした。膨大なデータ量のチェックもこのような録音を聞くのですから、楽しみながらわくわくして、チェックされたことと思います。ある意味、羨ましい作業となっていたのではないでしょうか。
 なお、このほかの録音と鳴き声に関連したものは、雲野明さんの「プレイバック法をもちいたクマゲラの生態調査」、植田睦之さんの「沢音は鳥の局所的な分布に影響を与えている?」、植田睦之さん、平野敏明さん、黒沢令子さんの「長時間の録音データから鳥のさえずり状況を知るための聞き取り時間帯の検討」、植田睦之さん、黒沢令子さん、斎藤馨さんの「森林音のライブ配信から聞き取った森林性鳥類のさえずり頻度のデータ」が収録されています。
 以下のURLで、要約をみることができます。また、購入も可能です。
  http://www.bird-research.jp/1_kenkyu/journal_vol08.html

2013年1月27日 (日)

カラスの羽箒

  女視展では、いろいろな方とお会いできました。その一人、羽箒の研究家のS坂さんとは、去年の日本鳥学会以来です。相変わらず羽箒をはじめ日本の文化史のなかに登場する鳥の情報を精力的に収集されています。
 以前「鳥づくしの野点」で羽箒を作るためにハシブトガラスの羽毛を六義園で拾ったことを記事にしました。なんと、その拾った羽毛で作った羽箒をお土産にいただいてしまいました。羽箒師の4代目杉本鳳堂さんに作っていただいた本物です。おそらく次列風切羽と思われる羽毛3枚が重ねられ、柄の部分は竹の皮がしっかりと巻かれています。これが、とても美しいのです。
 まず形がきれいです。羽箒を作るときには、形を整えるためにハサミで切りそろえるようなことはしないとのこと、同じ部分の羽毛でなくてはこうもきれいに揃わないでしょう。たくさんの羽毛の中から形の合ったものを探し出すのは、さぞたいへんなことだったでしょう。なお、下の方をそろえるためにはむしっているそうです。むしったら、羽軸が傷ついていまいそうですが、それは職人技できれいに整えられています。
 とにかく、この長さと幅のバランスがとても良いのです。良い形をしています。

Habouki130127

 そして、色がとてもきれいなのです。写真だとわかりませんが、光具合で緑色に見えたり紫色に見えたりする構造色の魅力満開です。S坂さんが羽箒の魅力に取り付かれた理由が、わかった感じがします。
 羽箒は実際に茶道で使われてこそ、本領を発揮します。それだけに、消耗品となり歴史のなかで失われてしまいます。ですからとても資料が少ないのです。私も江戸の鳥の資料を集めていますが、羽箒が網にかかったことはありません。だからこそ、今やらないと歴史の闇のなかに消えてしまうことでしょう。S坂さんの活動が、ひとつの光明となっています。
 それにしても、六義園のハシブトガラスの羽毛が、こんな見事な工芸品に生まれ変わるなんてうれしい限りです。いずれ、六義園の茶室で使って見たいですね。
 S坂さん、貴重な品をいただき、ありがとうございました。

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